神戸大学 大学案内
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海事科学部 准教授山地 一代世界経済のグローバル化に伴い、生産の国際分業体制が進展しています。このような状況においては、地球規模での輸送・物流活動は不可欠であり、効率的で安全な輸送・物流ネットワークの構築が重要です。一方で、輸送・物流活動に伴う、地球温暖化、エネルギー問題、海洋汚染や大気汚染・騒音などの環境問題が深刻化しています。本学科では、地球規模のグローバルな輸送・物流活動を科学的に分析し、業務を遂行することのできる知識及び能力を有する人材の育成を目的としています。本学科には「航海マネジメントコース」と「ロジスティクスコース」が設置されており、2学年からいずれかのコースで、それぞれの学問体系に従って専門科目を学びます。「航海マネジメントコース」は、船舶の海事技術者(船長や航海士)を目指す人のために設置されています。開設科目は、講義、実験、演習および船舶実習と多岐にわたり、社会科学分野と自然科学分野力を有する人材を育てます。なお、このコースでは船舶実習は履習できません。太陽からの光エネルギーと重力の影響をうけて、地球はひとつの天体として運動しており、表面の大気圏・陸圏・水圏では、エネルギーと物質がグローバルに循環しています。地球環境問題やエネルギー問題に対する抜本的対応が遅れていた中で、地震と津波がもたらす深刻な被害、そして、原子力発電所の重大事故による放射能汚染が発生しました。日本列島に暮らす私たちは生活の安全と安心、国土利用のあり方について、一から考え直す必要に迫られています。本学部に求められる取り組みとして、安全で安心できる社会環境の整備と確立に貢献できる人材を育てるために「海洋安全システム科学科」が設置されています。港湾施設を含む沿岸域の防災と減災、自然エネルギー源としての洋上風力資源の開発、放射線を含む環境計測とその技術開発、環境保全のための新しい機能性材料の開発に貢献できる人材を育てます。を縦横断的に活用できる知識と技能を修得することができます。それにより、社会が求める国際性、リーダーシップ、協調性および英語でのコミュニケーション能力を身に付けた人材を育成し、海事技術者のみならず、将来の海事社会のリーダーを輩出することを目的としています。また、学部卒業後に進学可能な乗船実習科(6ヶ月)を修了後、10月入学制度を利用して、直ちに大学院前期課程に進学することが可能です。「ロジスティクスコース」は、地球規模の輸送システムを科学的に分析し、管理運用できる人材を育てるために設置されています。地球規模の輸送は、陸海空の3つの異なる輸送機関を複合的かつ有機的に組み合わせて実現されていますが、それには速達性、低廉性、確実性が求められます。このような複雑な条件を満足させて人やものを輸送することは決して容易ではなく、輸送会社は、情報通信技術によって世界中の情報拠点を結び、経験則や合理的・数理的な計画策定手法を駆使して輸送サービスを提供しています。そのために本コースは、陸海空を網羅した輸送システムを分析・設計・評価し、さらに管理運用できる実践的な業務遂行能海事科学部*Faculty of Maritime Sciences航海マネジメントコース ロジスティクスコースグローバル輸送科学科海洋安全システム科学科教員メッセージ海事科学部海事科学部 教授GOMEZ Christopher海にかかわる大気環境を科学するSediment and Volcanic HazardsResearch around the Pacific「海事科学」。馴染みの薄い言葉かもしれませんが、海にかかわる様々な事象を扱っており、我々が所属する海洋安全システム科学科では海に関連する環境・エネルギーの教育研究を行います。私は、人間活動(例えば、海洋上だと船舶が思い浮かぶでしょうか。)を起源とする大気物質の環境影響について、教育と研究を行っています。我々の活動に起因する大気物質は、ある時は北極圏に、またある時は太平洋に、海上を輸送され到達し、その場の環境はもちろん、地球環境に影響を及すことが危惧されています。我々の学科ではこのような問題の理解と解決に向けた研究を行っています。Japan being an archipelago, there is no escaping the sea or the ocean; it is and will be a part of your life and who you are as a student and eventually a citizen of Japan. That’s why the Faculty of Maritime Sciences and Engineering is at the heart of Kobe and its university. As a specialist of natural hazards and disaster risk, the ocean is sometimes at the origin of terrible disasters like the 2011 Tohoku Earthquake and Tsunami, but it is also the last frontier to discover and explore on Earth, with the potential for discoveries but also for constructing a greener and more Earth conscious Japan. With climate change and an ageing population, the challenges are plural, but together at the Maritime Sciences Faculty, we are here for YOU to build a bright future for Japan and the rest of the planet. The sky is the limit. 私の研究室では地球物理学(電気探査と地中レーダ電波を利用して)、測量、ドローンUAVと人工衛星画像などを駆使して、国内外の海域と陸の火山噴火、地滑りと土石流をよぶ災害が学べます。日本社会に役立てる気持ちを持ちながら、フィールド調査からコンピューターシミュレーションまで楽しむことができます。自然を相手にしているので決して簡単な研究ではありませんが、謎に満ちていて、答えより疑問がまだ多い分野です。*神戸大学は、令和3年4月に「海事科学部」を替えて、『海洋政策科学部(仮称)』を設置する予定です。(設置計画申請中)Kobe University42

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