神戸大学 大学案内
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Initiative for Excellence卓越研究のイニシアティブを―2019(平成31)年度より、「志」特別入試がスタートしました。点数によって合否が決定される入試は公平なシステムである一方で、大学の序列や閉塞感を生み出す側面もあります。そこに喝を入れるために導入したのが「志」特別入試です。「神戸大学でこんな勉強がしたい」という「志」を最重要視し、大学入学共通テストは課しません。志望理由、高校時代の活動歴、基礎学力の評価、面接を実施し、専門分野に関わる適性や学力を総合的に評価します。2019年度は31名、2020年度は29名の志高く、おもしろい個性をもつ学生が合格を果たしました。将来は入学者の1割程度に増やすことを視野に入れています。―研究面での成果などのトピックスがあれば教えてください。神戸大学は「学理と実際の調和」を理念とし、進取と自由の精神がみなぎる学府として、各部局で専門性を活かした新しい研究、取組を次々と実践しています。海事科学部では、所有する船を活用した海洋・海底探査の実現化に向け、新学部の設置計画申請中です。また、文理融合の一環として、これまで欧米諸国が主導してきた海洋法について提言できる人材の育成を図りたいと考えています。数理・データサイエンスセンターでは、マイクロ波を使用した画期的な乳がん検査装置が考案され、2020年中に商品化を予定しています。2020(令和2)年4月、「価値」をキーワードに、分野横断的な研究・教育・社会貢献のプラットフォームを実現することを目指す組織として、神戸大学バリュースクール(通称「V.School」)を設置しました。アメリカではGAFA(グーグル、アップル 、フェイスブック、アマゾン)が、斬新な発想を起点とするビジネスで成功しています。神戸大学からも、土台からひっくり返すような発想力や、価値に基づく提案力をビジネスに昇華する人材を輩出したいと考えています。六甲台第2キャンパス内の眺望館1階にあるV.Schoolの場は、本学の工学研究科建築学専攻の学生がデザインしたものです。―神戸大学が育成を目指す人材像について教えてください。本学では、自ら地球的課題を発見し、その解決にリーダーシップを発揮できる人材を育成するために、全学部生が卒業時に身につけるべき3つの能力「神戸スタンダード」を定めています。1・2年生は主に基礎教養科目と総合教養科目を、1・2年生だけでなく専門分野を学んだ高学年を対象に高度教養科目を設け、神戸スタンダードの3つの柱である「複眼的に思考する能力」「多様性と地球的課題を理解する能力」「協働して実践する能力」を養います。目まぐるしく変貌し、多様化が進む社会を、広く浅い知識とコミュニケーション力だけで乗り切るのは困難です。神戸スタンダードによる基礎学力と専門的な能力を土台にし、そこから視野を広げましょう。卒業後も、あらゆる状況に果敢に挑戦する人材へ成長することを期待しています。―神戸大学を目指す学生にメッセージをお願いします。新型コロナウイルスの感染拡大は、私たち人類に「不測の事態に遭遇する現実」を突き付けてきました。そして、問題が生じた以上、生命や社会を維持するには解決策が必要です。感染症を例にとれば、医学的にウイルスに立ち向かう、社会学の視点からアプローチを試みる、あるいは政治面での対応を考察することもできます。社会全体と社会を構成する一人ひとりのチャレンジ精神や、問題解決のための役割が問われているといえるでしょう。皆さんは、勉強したことがいくらでも頭に入る若者です。日頃から問題を発見し、考え、挑戦する習慣をつけましょう。神戸大学で大いに学び、たくましく生き抜く力をつけてほしいと願っています。高い志をもって視野を広げ、今取り組むべき課題に挑もうKobe University5

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