神戸大学 統合報告書 2022
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TOPICS神戸大学教育DXワーキンググループによる11の新規教育手法開発プロジェクトコロナ禍は、もともとあった問題を浮き彫りにして、解決に結びつける機会になりました。今後もオンラインやデジタルの利用が広がれば、かえって対面や実体験の機会の価値が高まると予想しています。このような新しい技術を用いた教育手法で学生たちのモチベーションを上げ、次のステップの学びに繋げていきたいと考えています。企業とは異なり、どんなことにもチャレンジできる点が大学の強みです。この強みを活かして、これからも教育のデジタル化を進め、デジタル人材を育成するとともに、他の高等教育機関全体に展開できるような様々な取り組みを進めていきます。コロナ禍による対面授業や臨床実習の制限は、医学部の学びに大きな影響を与えました。患者さんの協力による対面の臨床実習の学習効果はとても高く、そのためこれまではシミュレーション教材開発のようなDXに取り組む必要はありませんでした。しかし患者さんに触れられない環境では、デジタル技術を用いたシミュレーション教育が必然的に求められるようになりました。そこで、医学研究科、工学研究科、システム情報学研究科、数理・データサイエンスセンターから、神戸大学教育DXワーキンググループが組織されました。本学のDXへの取組みは文部科学省による「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン(Plus-DX)」取組①:学修者本位の教育の実現、取組②:学びの質の向上に採択されています。本学の神戸大学教育DXワーキンググループでは、2021年9月の結成から1年足らずで10を超える教育手法開発プロジェクトに取り組みました。その中でも特徴的なのは、触①インプット講義コンテンツデジタル化②アウトプット講義のデジタル化③臨床実習用健康管理スマートアプリ開発④VR空間で行うヴァーチャル看護体験実習教材開発⑤VR体験型院内バーチャルツアーコンテンツ開発⑥アバタープラットフォーム上でのディスカッション授業⑦アバターコミュニケーション研究⑧リアルタイムモザイク機能により個人情報に配慮した外来診察中継アプリの開発⑨AIを用いた仮想模擬患者 (virtual simulated patient)の開発⑩触覚ディスプレイを用いたVR中心静脈■刺実習アプリケーション開発⑪リアルシミュレーターとARデバイスを融合した気管挿管トレーニングシステムの開発アバタープラットフォーム上でのディスカッション授業覚ディスプレイを用いたVR中心静脈■刺実習アプリケーションの開発です。VR空間で3Dモデル人体を相手にエコーガイド下で■刺訓練が行え、触覚ディスプレイを用いて■刺針の触覚を再現した、リアリティのある実習シミュレーターとなっています。VRシミュレーション教材は、何度も反復できること、医療行為を行えない学部生でもリアリティを持って体験できることが利点です。デジタル活用でコロナ禍前からの課題も解決スピーディーなデジタル開発で学習を支援22急激なデジタル化需要に応える教育手法開発医学研究科 関口 兼司准教授

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