神戸大学 統合報告書 2022
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TOPICS本学ではこれまで、練習船「深江丸」とともに、海事・海洋に関する教育と研究を深めてきました。2019年には、新たな時代に向けて、さらに海への関心を集め、研究を推進する全学的な取り組み「海神プロジェクト」を発足。2022年、プロジェクトの根幹となる新船「海神丸」が誕生しました。海神丸の目的は、海技士養成だけでなく、これからの海事・海洋分野の発展、地球環境保護を牽引する人材の育成など様々です。最先端の運航支援装置を搭載しており、めまぐるしい技術の進展にも対応できる教育船として期待が寄せられています。さらに、15分に1回の強制換気システムや空気清浄機を導入。新型コロナウイルスで浮き彫りになった船内でのパンデミックリスクに備え、Withコロナに対応した衛生設備も整えています。また、海神丸は教育関係共同利用拠点に認定されていることから、学部、大学の枠を超えた利用も可能です。現在、他大学の学生を対象とした乗船体験プログラムも実施しており、海運業界を広く知ってもらうことを目的に、海事・海洋分野に限らず、経済系や医学系など異分野の学生も受け入れています。海神丸の役割は人材育成だけではありません。社会課題・地域課題の解決に向けた実践機能も有しています。例えば、巨大災害発生時に、被災地への災害支援活動を行えるよう、造水機能、支援物資を輸送するコンテナを搭載できる場所、ヘリコプターでの物資輸送が可能なエリアなどを用意しています。そして、女性船員が加わったことにより、女子学生への対応がスムーズになったことも変化の一つです。以前は女子学生や女性職員の数が多くはなかったため、女性用の設備は小規模でしたが、近年女子学生も増加傾向にあることから、シャワーブースやトイレ、居室を増やすなど、男女共同利用に配慮した作りになっています。時代に合わせて教育や活動内容をアップデートすることは、「海の神戸大学」としての責任でもあります。今後も引き続き、「海洋立国日本」を牽引していく人材の育成、そして社会課題解決に向けて取り組みを進めていきます。最先端の船による、未来を担う海洋人材育成へ教育だけではない、社会課題に向き合う多機能船24「海の神戸大学」の顔「海神丸」海事科学研究科 猪野 杏樹助教TOPICS「環境」を創る

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