神戸大学広報誌『風』 Vol.18
16/24

for 私の専門分野は平たく言えばスポーツ振興で、スポーツを通じて人々の健康を増進したり、地域活性化に貢献したりする手法を研究しています。スポーツ振興においては、ハレの舞台としてのスポーツイベントを開催することが非常に重要で、その理由はイベントへの参加を目指して人々が群がり、チームを作ったり、練習を始めたり、自身の健康づくりを意識したりとさまざまな活動を始めて活性化するからです。WMGは世界中の人々が参加する大会ですから、まさに大きな舞台となります。オリンピックのように観戦するだけでなく、自ら参加してメダルを狙える国際大会ですからね。私自身、1998年にアメリカ・ポート×  l ●●●  らWMGを日本に誘致したいと考えるようにランド大会に出場しました。その時の感動かなり、2000年に行われた滋賀県による第8回大会の誘致活動に参加しました。その時は落選となりましたが、私はIMGAのアジア理事として以後の大会をずっと見てきました。今回の関西大会には、組織委員会の評議員として参画しています。ユーススポーツやプロスポーツとは違い、中高年齢者が行う生涯スポーツには国際大会がほとんどありません。特に日本の場合、多くの人にとってスポーツはユースで終わりがちで、その後は目指す舞台がなくなる。選手達は急にはしごを外されて、競技から遠ざかってしまう。日本では加齢とスポーツが融合していないからです。一方、海外では「Sportsえ方が一般的で、WMGには元オリンピック選手などのいわゆるレジェンドも参加し、一般市民と一緒に競技を行います。当然、レジェンドの成績は圧倒的なものになるのですが、より大きな拍手が一般市民選手に贈られる。マスターズには敬老思想があるので、選手の年齢が上がるほど会場が盛り上がるんです。また、家族でチームを作って参加したり、夫婦やカップルのペアで出場するというWMGならではの光景も見られますし、大会後の観光も含めてスポーツツーリズムとして楽しむ人も多い。そうした生涯スポーツの楽しみの広がりを、高齢化が世界一進んだ日本で体験してもらえれば、高齢社会に対して明るい視点を持つ人を増やせると思います。WMGでは今回初めてとなりますが、誘致段階からレガシー創出委員会を設置しました。関西広域連合と、私の研究室が運営する「マスターズスポーツ振興支援室」がAl」という捉ワールドマスターズゲームズ(以下WMG)というイベントをご存知だろうか。国際マスターズゲームズ協会(IMGA)が主催する中高年齢者のための国際スポーツ大会で、1985年以来、ほぼ4年ごとに世界各地で開催されている。原則30歳以上の誰もが出場できるオープンな大会で、現在、日本の関西エリアでの開催準備が進行中。その誘致活動を推進してきた長ヶ原誠教授に、開催の社会的意義とレガシー創造について聞いた。スポーツ振興におけるイベント開催の重要性|WMGを誘致した理由は?|WMGの魅力とは?ソフト面の多様なレガシーを残す|関西大会のレガシー構想とは?●Nara●Hyogo●Tottori競技開催地地競競競技開催地●● Osaka16kaze Vol.18CHOGAHARA Makoto大学院 人間発達環境学研究科 教授カナダ・アルバータ大学にて博士号(Ph.D.)を取得、1999年神戸大学発達科学部講師。スポーツプロモーションやジェロントロジー(老年学)に関する研究を行い、マスターズ甲子園実行委員長、ワールドマスターズゲームズ2021関西レガシー創出委員会委員長など、成人・中高年者を対象としたスポーツイベントの開発や振興事業を実践している。FukuiotoKyoto●ShigaaaushimaTokushmaWakayaayama神大 LOCAL「ワールドマスターズゲームズ 関西」のレガシー創造生涯スポーツで高齢社会の意識を変える長ヶ原 誠

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る