神戸大学広報誌『風』 Vol.18
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中心になってレガシー原案を作り、招致計画書に反映しました。招致計画においては、開催の意義が問われます。何のために開催するのか、そして大会の効果を一過性でなく継続的なものにし、開催後もスポーツを通じていろいろなことを活性化していくために、どんな大会にするのか、その答えがレガシー構想になります。東京オリンピックではハード面のレガシーが注目されましたが、WMGでは既存施設の活用を提唱しているので、ハード面のレガシーはあまり残りません。それよりもソフト面を重視して、「個人のスポーツ」「健康増進」「生きがい」「地域活性化」「観光や産業の活性化」「国際化」「教育」などに貢献する方向で策定しました。一例をあげると、ブリスベン大会が開催されたオーストラリアでは、WMG開催後に、クイーンズランド州が「パン・パシフィックマスターズゲームズ」という独自のイベントを開催し始めました。これは典型的なレガシーイベントで、今では大変な盛況ぶりです。こうしたローカルレガシーを関西でも生み出し、それを新たな「舞台」としてさらなるスポーツ振興につなげていきたい。同時に観光の活性化、高齢社会の意識改革などを実現することも重要なレガシーになると考えています。 生涯スポーツに関しては、そう言えるかもしれません。ただ、WMGに合うものを選択し、プロジェクトを作って推進することが、レガシー創出委員会の役割です。そして、委員会が推進するリーディングプロジェクトと、外部から参画してもらうエンゲージメントプログラムを両面で推進して、みんなでレガシーづくりを行うことが理想です。エンゲージメントプログラムについては、私達が策定した5つのレガシー創出テーマ(図参照)ごとに参画プログラムを募っています。そこで起こるいろいろな現象をモニタリングし、数値的に実証しながら総括して、具体的なレガシー創出計画に結びつけるイメージです。私達はこれまでに開催されたWMGのレガシーを評価・研究して、その成果を関西にあてはめました。そして、関西の観光資源や文化的な資源、震災復興の関連で充実しているボランティア文化など、関西エリアに備わっているさまざまな資源とうまく組み合わせれば、過去の大会以上にレガシーを残せると考えています。それだけ準備期間をいただいたと思って、がんばるしかありません。WMGは参加型のイベントです。コロナ禍で延期された分、大会の認知を広げる活動ができ、それだけ参加者やボランティア、サポーターを増やせます。それこそが我々の提唱する一番大事なレガシーなのです。|関西大会に限定されない普遍的なコンセプトですね。|大会は二度も延期されています。個人を彩るレガシー・ライフステージに応じたスポーツ実施人口の拡大・活動的な健康長寿社会の創造・生きがいに満ちた生涯活躍社会の実現地域を創るレガシー・交流型地域社会の活力再生・地球環境の質的成熟化・広域連携による地域社会の活性化神大× LOCAL    文化を深めるレガシー・日本・関西が持つ観光・魅力の表出・既存産業の活性化と新産業分野の成長・新たな成熟文化の発信世界を拡げるレガシー・KANSAIブランドの向上と地域の国際化・アジアへのマスターズスポーツムーブメントの拡大・多様性を有した世界観の拡大と国際貢献未来を育てるレガシー・教育活性化によるエンパワーメント・科学振興とJAPANインテリジェンスの発信・活力ある人生観の啓発と未来像の継承スポーツ・健康・生きがい地域・環境・社会観光・産業・文化KANSAI・アジア・世界観教育・科学・次世代17神大×LOCAL「ワールドマスターズゲームズ 関西」出典:「ワールドマスターズゲームズ2021関西レガシー基本構想」よりWMGオークランド大会での関西大会PRブースにてアジアパシフィックマスターズ大会(マレーシア・ペナン)現地調査ワールドマスターズゲームズ関西のレガシー創出テーマhttps://wmg2021.jp

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