神戸大学広報誌『風』 Vol.18
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門に、民俗学と文学にまたがる領域で研究を行っています。特にグリム兄弟の三つの大著、童話集、伝説集、そして兄のヤーコプが編纂した「ドイツ神話学」を主な研究対象に   しています。なかでも専門と言えるのが伝説集です。伝説には実際の地名や実在の人物が登場する分、歴史的事実との重なりが強いのですが、多くは記録として断片が残っているだけで、起承転結のある物語にはなっていません。それだけに、手を加えられていないと考えられる点で、私たち研究者にとっては重要な資料なのです。学部生の時、「宇治拾遺物語」に収められている、腐っていない死体が発見される話に関心を持って、その類話を探しているうちにドイツの伝説集と出合いました。以来、怪異と肉体の関係を研究テーマの一つにしています。たとえば、怪異には、妖怪のように体があるものと、幽霊のように体がないものがあります。体|先生の主な研究領域は?|なぜドイツ語圏の伝承研究を?社会現象と呼ばれるほどの支持を集める漫画・アニメ作品「鬼滅の刃」。その登場人物たちを分析して論じる連載記事を、ウェブメディア「AERAdot.(アエラドット)」で発表し続け、400万PVという驚異的なアクセスを獲得しているのが、国際文化学研究推進センター協力研究員の植朗子氏だ。伝承文学や神話学、ドイツ民俗学などを専門に研究し、特に怪異譚や奇譚などの不思議な出来事にまつわる伝承、伝説、迷信、言い伝えなどへの造詣が深い植氏に、現代のポップカルチャーを神話・伝説の研究メソッドで読み解く意味と、そこから見えてくるものについて聞いた。不確かな「怪異」現象が事実と継承されるプロセスを探る植朗子intervieweeUEAkiko「44不000思万P議V達」の成の「研鬼滅究の刃か」キャらラク現ター代論をを上梓読み解く19世紀ドイツ語圏の民間伝承を専08特集2神大研究ズームアップ特集 2神大特特特集 2神大kaze Vol.18

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