神戸大学広報誌『風』 Vol.19
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私の研究分野は光化学で、主に光触媒を用いて水から水素と酸素を生成する反応を研究しています。特に、脱炭素が社会課題になるなか、化石燃料を使用せず、二酸化炭素を排出しない  太陽光エネルギーを使って、水からグリーンな水素を製造する技術開発を行ってきました。今回の異分野共創研究では、光触媒の技術と、微生物が持つバイオエネルギーを組み合わせてメリットを最大化するために、バイオ関係の先生方と共同研究を行っています。酵素や細菌といったバイオマテリアルと光触媒を組み合わせる研究例は世界でも少ないのですが、神戸大学ではバイオ工学の研究が非常に進んでおり、さまざまな酵素を生み出す技術や研究基盤が充実しています。また、タンパク質や生分解性ポリマーなど環境分野に強い先生方とも連携することによって、プラスチックなどの廃棄物を原料にして光触媒の作用で水素を作り、その水素と水素細菌を使って、化石燃料を使わずに廃プラスチックからプラスチック原料を作る「グリーン資源循環」を、新しい学理や技術として構築することを目指しています。 将来的にはプラスチックに限らず、生活廃棄物や食料廃棄物などを水素エネルギーや有用物質に変換することが目標です。実現すれば、二酸化炭素の排出量を抑えつつ、世界のエネルギー問題を解決できるほどのポテンシャルを秘めている研究です。 まず、3年間でバイオと光触媒の融合に関する基礎研究に取り組み、その後自然科学や社会科学、医療などさまざまな分野の先生方と交流しながら、最廃棄物からの資源循環を実現し、世界のエネルギー問題を解決する[kaze]120th ANNIVERSARY微生物と光触媒の力で、廃棄物をグリーンな水素と資源に変換プロジェクト型異分野共創による資源循環イノベーションプロジェクトリーダー分子フォトサイエンス研究センター 教授大阪大学産業科学研究所助教、神戸大学大学院理学研究科准教授、神戸大学分子フォトサイエンス研究センター准教授などを経て、2022年4月から現職。光触媒反応によって水素ガスが生成する様子立川 貴士TACHIKAWA Takashi1201

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