神戸大学広報誌『風』 Vol.19
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デジタルツインとは、現実の対象物と対になるツイン(双子)を仮想空間上に構築し、シミュレーションなどに用いる技術です。私たちは神戸市のデジタルツインを構築して地震シミュレーションを   ム」があります。この志を継承し、次世代につないでいくことが私の役割であり、未来世紀都市学研究アライアンスは異分野共創という藤澤学長のビジョンを実現する活動だと考えています。行い、防災・減災、レジリなく、震災が社会全般に与える影響を予測することを目指しています。このプロジェクトは、都市安全研究センターの飯塚敦先生を中心に、都市丸ごとシミュレーション技術を核とする文理融合研究を続けてきた「未来世紀都市学研究アライアンス」の活動の一つです。経済学者の私が今年度からアライアンス長に選ばれた背景には、このアライアンスを部局を超えた異分野共創研究として発展させるという「飯塚イズ神戸市デジタルツインのデータは理化学研究所にあり、約42万棟の建物やインフラ、地盤のデータが入っています。これを地震モデルと連動させて揺らし、被害を試算する際、神戸市を襲う地震として想定できる約1万通りのシナリオに基づくシミュレーションを全て行い、考え得る被害を全て明らかにします。これほど網羅的な地震シミュレーションは世界にも例がありません。また、感染症の蔓延や経済の混乱など、社会全般に与える影響を予測して対策を講じるために、社会科学系、人文・人間科学系、生命・医学系などの分野からも研究者が参加し、多角的な観点からデータ分析を行います。 私自身は計算社会科学の視点から、SNSのデータ活用を計画しています。シミュレーションを生かすには、実際の地震発生直後に、どのシナリオの地震が事前の網羅的な地震シミュレーションにより災害発生直後の避難と救助を迅速化・効率化建築建物モデル埋設管モデル地形モデル[kaze]120th ANNIVERSARYプロジェクト型02神戸市デジタルツインによる防災減災・社会経済シミュレーション分析「地震シナリオの網羅的シミュレーション」による異分野共創先端研究経済経営研究所 教授計算社会科学研究センター センター長1994年ウィスコンシン大学修了。神戸大学経済経営研究所長などを経て現職。未来世紀都市学研究アライアンス長。プロジェクトリーダーエンス化に生かすだけで都市丸ごとシミュレーションでは、多様な情報を統合して可視化できる上東 貴志KAMIHIGASHITakashi14

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