鬼界カルデラは鹿児島県の薩摩半島の南、屋久島の北に位置する海底カルデラ火山です。外縁部の薩摩硫黄島と竹島だけが海上にあり、大半は海底に沈んでいます。7300年前の巨大噴火では、火山灰や火山ガス、軽石などが高速で流れる火砕流が海を渡り、約50キロ離れた薩摩半島や大隅半島まで達しました。降灰による気象変化なども加わって南九州地域の縄文文化が途絶えてしまったとされています。日本全体で1万年に1回程度の噴火ですが、いったん起きると日本列島の大半が数十センチの降灰に覆われる大災害が予想されるので、過去の噴火による堆積物を調べ、どのような噴火と火砕流があったのかを解明し、将来に備えることが重要です。 海洋底探査センターでは、海洋政策科学部の練習船「深江丸」(2022年3月退役)に観測機器を搭載し、2016年秋から年2回の鬼界カルデラ探査を続けています。私は過去11回の探査航海のうち8回に乗船しました。10〜20人の研究者、操船を担当する教員・深江丸乗組員と協力して、1回2週間の海底探査に取り組みます。他大学を含む研究者や学生など多くの分野の専門家がアイデアを出し合うのはとても楽しいです。乗組員も気象などによる危険を回避しつつ、よりよいデータを取得するためのアドバイスもしてくれます。 海底探査に使う機器は、▽海底地形を調べる「マルチナロービーム音響測深練習船に海底探査装置を装備日本列島には111の活火山があるという。富士山や阿蘇山などの雄大な景観は私たちを魅了するが、ひとたび噴火すると、生活や産業へ多大な影響を与える。国民の生命に危害が及ぶこともあり、火山研究は防災のためにも重要な学問分野だ。神戸大学は海底探査ができる多機能練習船を持ち、海底火山の研究をリードしている。海洋底探査センターの中岡礼奈助教は、鹿児島県沖の鬼界カルデラの探査チームの一員として海域火砕流のメカニズムの解明に取り組む、気鋭の若手研究者だ。南九州の縄文文化が途絶えた巨大噴火薩摩硫黄岳をバックにくつろぐ中岡助教 理学×海事科学04[kaze]120th ANNIVERSARY18海洋底探査センター 助教大阪府出身。神戸大学理学部卒業、神戸大学理学研究科博士課程後期課程修了。2016年から神戸大学海洋底探査センターで研究を始める。中岡 礼奈 NAKAOKA Reina鬼界カルデラプロジェクト海神丸で研究をパワーアップ鬼界カルデラの火砕流を調査
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