部分の障害で起きる伝音難聴と、振動を電気信号に変換して脳に伝える内耳の問題による感音難聴があります。難聴のうち9割は内耳の蝸牛という直径5ミリほどの小さな器官の障害によっ難聴には鼓膜など音の振動を伝えるのか不明なまま、治療を行っているのが実態です。今はステロイド剤の投与しか治療法がない突発性難聴(急性の感音難聴)の原因が、炎症か、血流の問題か、神経の障害か――を突き止め、新たな疾患概念をとらえることができれば、治療戦略を立てられます。数十年間進歩していない難聴治療にブレークスルーを起こしたいと考えています。 学内の医工連携の専門家の助言などを参考にして、高い透過力を持っているが医療分野ではほとんど使われていないテラヘルツ波という電磁波に着目しています。テラヘルツ波の研究に取り組んでいる大阪大学レーザー研究所にメールを送って協力を呼び掛けまして引き起こされます。しかし、蝸牛は微細な上に頭蓋骨に覆われているため、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)を使っても内部を可視化することができず、何が起こっているた。研究プロジェクト「医工融合による低侵襲・高解像な感音難聴の精密診断の実現」を科学技術振興機構(JST)の創発的研究支援事業に採択していただき、2022年度から7年間の共同研究がスタートしました。私が医工連携研究に注目したのは と休日になります。研究より、多くの2014年に米国ハーバード大学に留学した時に遡ります。マサチューセッツ工科大学(MIT)を卒業後に医師になった女性耳鼻科医、コンスタンティーナ・スタンコビッチ氏(現スタンフォード大学医学部教授)が、工学分野との連携をリードする姿を見て、帰国したら医工連携研究に挑戦しようと決意しました。今は、耳用の手術支援ロボットの開発にも取り組んでいます。手術支援ロボットによって、熟練医師の手術の動きなどを解析し数値化できれば、多くの医師が安全な手術をできるようになると思います。 ただ、診療や医学生の教育などがあり、医工連携の研究に割けるのは夜間患者さんの治療を優先した方がいいのではないかと自問自答することもありますが、臨床現場の医師のアイデアが未来の医療の発展につながると信じて研究を行っています。QOL(生活の質)に大きな責任を負い、一日の大半を病棟で診察や手術にあたる。医学研究科の藤田岳講師は、中耳疾患・難聴の専門家として附属病院での診療の傍ら、工学分野の研究者との異分野共創で、感音難聴の精密診断に役立つ新たな機器の開発に挑戦している。臨床医は多忙だ。患者の生命、共創と協働術者の動きを機械学習を用いて予測・計測し、ロボットの制御に活用医学×工学医工融合による感音難聴の精密診断を実現大学院医学研究科 耳鼻咽喉科 頭頸部外科学分野 講師神戸市出身。2005年神戸大学医学部卒。研修医を経て、2007年神戸大学医学部附属病院耳鼻科入局。2014〜2015年米ハーバード大学留学などの後、2019年から現職。藤田 岳FUJITA Takeshi21臨床現場のアイデアが未来の医療を創る医工連携で難聴治療にブレークスルーを06
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