神戸大学広報誌『風』 Vol.19
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まったく違ってくるので、とても役に立つと思います。でも、企業にはいま、博士を受け入れる体力がありません。何かプッシュをしないと、企業も受け入れる体制を作ろうとしないのではないでしょうか。学長 ようやく博士課程の学生への経済的支援をできるようになったところですが、次は将来のキャリアアップが見えるようにすることが課題です。また、博士課程まで進もうという学生に対しては、修士課程の段階から支援することも必要かと考えています。この支援は、資金も必要ですから今すぐというわけにはいきませんが、博士のキャリアアップについては大学と企業が一緒に考えていかねばなりません。卒業後の研究職のポストを増やすことも重要です。学長 神戸大学で印象に残った授業はありましたか?竹内 私の場合、えこふるを始めるきっかけになったのが環境学入門という一般教養の授業でした。漠然と環境問題に興味を持っていた私が、環境学入門を受講して、環境問題に精通した先生に出会うことができ、自分なりの活動につながりました。自分が興味を持っている分野の授業を比較的自由に受講できるところが、総合大学の良いところだと思います。佐伯 私は特に、語学系の授業と、文学部の先生の講義がとても面白いと思いました。でも、2年生以上の専門だとやはり履修制限がかかって、他学部の学生は受講できないのがちょっと残念です。学長 単位が得られなくても勉強したいんですね。履修ではなく聴講だったらできると思います。荻巣 僕はけっこう聴講であちこちの講義を聴きに行っていました。先輩方の中にも、初回の授業の時に先生に「聴講したい」と伝えて、聴講させてもらっている人はいました。学長 自由かもしれませんね。自分の専門分野をしっかり勉強した上で、それ以外の分野の勉強もして枝葉をつければ、自分の研究の役に立ったり、偶然のひらめきに結びつくときが来るでしょう。時間があるときには、ぜひ自分の引き出しを増やしてほしい。沼 ラインツールを利用して世界中の大学講義を聴くことができ、専門領域以外の勉強もしやすくなっていると思います。また医学部は六甲台キャンパスから遠く他学部講義の聴講が難しかったのですが、オンライン化によって改善されると思います。ただ異分野共創においては情報以上に人脈を得ることが重要だと考えていて、いろいろな学部の学生とチューターを集めたクラスのようなものがあったら面白いのではないかと思います。学長 りましたか?アーネ と違うことを学んでいるので、神戸大学に来て視野がすごく広がっていると学部に比べて、大学院はかなり今は〝coursera〟などのオンアーネさんは印象的な授業はあ出身大学で勉強していた分野思います。いま、先生と一対一の形で受講している授業で、ノーベル文学賞を受賞した英国籍の作家、カズオ・イシグロ(石黒一雄)の短編小説『TheSummerafter日本語訳に取り組んでいます。驚いたことにまだ翻訳されたことが無かったのです。出身大学では太宰治などを日本語から英語などに翻訳していましたが、ここでは英語から日本語への翻訳に取り組んでいます。ハンブルク大学で学んだ分野とは異なることに挑戦し、視野が広がった気がします。theWar』の総合大学のメリット[kaze]120th ANNIVERSARY08

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