神戸大学広報誌『風』 Vol.20
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私の専門分野は公共経済学、公益事業論です。公共という点から見ると、コロナ禍における一連の政策の策定・変更プロセスにおいて、社会に多くの混乱が生じていました。その原因は、政府、自治体、企業、住民などの間で、情報共有がうまくいかなかったことにあります。この問題を解決するために、取引費用理論をあてはめることができると考えました。取引費用とは、情報共有にかかるコストです。情報共有の妨げになる障壁があると、情報共有コストが増えてしまうという考え方で、いわばコミュニケーションにかかる費用を最小化することで、連携を円滑にすることができるわけです。Z   ている産業のことで、電力、鉄道、水道、病院、情報通信などがそうです。公益事業においては、消費者の需要をコントロールすることが問題公益事業とは社会インフラを構成しになっていて、例えば海外の電力会社や鉄道会社では、デマンド・レスポンス、つまりピークの時間帯の利用料金を上げ、そうでない時間帯には下げる形で、消費者の需要をコントロールしています。インセンティブを与えると言った方が良いでしょう。価格メカニズムを通して動機付けをするという意味です。コロナ禍の日本では、緊急事態宣言や取引費用を下げることで情報共有を円滑にする|この研究テーマを発想された背景は?て、公益事業に着目されています。|情報共有を円滑にする仲介者とし|需要をコントロールする?interviewee12NAKAMURA Eri2006年神戸大学経営学部を早期卒業、11年に同大学院経営学研究科博士後期課程修了。14年より現職。主な専門分野は、鉄道・航空・海運・上下水道・電力・郵便などネットワーク性のあるインフラ産業(公益事業)のマネジメント。これらの公益事業を軸に、異分野融合研究を推進している。kaze Vol.20集2神大研究ズームアップ[02]特集 2神大集集集 2神大特集 2神大大学院 経営学研究科 准教授※さきがけ…日本が直面する重要課題の克服に向けて、独創的・挑戦的かつ国際的に高水準の発展が見込まれる先駆的な基礎研究を推進し、科学技術      イノベーションの源泉となる成果を世界に先駆けて創出することを目的とするネットワーク型研究(個人型)。研究期間は3年6か月以内。経営学研究科の中村絵理准教授の研究が、国立研究開発法人科学技術振興機構の2022年度「さきがけ」事業※に採択された。取引費用理論を軸に、パンデミックという緊急時に「公益事業」を中心とした企業間連携と住民間の協力体制を構築し、レジリエントな社会・技術基盤を作り上げるという研究の概要を聞いた。パンデミックに対してレジリエントな社会基盤を研究中村 絵理緊急時に社会に協力体制を生み出す持続可能なプラットフォーム構想

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