神戸大学広報誌『風』 Vol.20
2/24

■Contents Integrated Research Center of Kobe University 神戸大学統合研究拠点の歴史は、2011(平成23)年4月に神戸ポートアイランド地区に設置された旧「統合研究拠点」から始まります。この設置には、内的要因と外的要因がありました。まず、内的要因は、当時の神戸大学では、福田秀樹第13代学長のリーダーシップの下で、全学的な分野横断型の先端融合研究が強力に推進されていたことです。この方針について福田学長は、就任直後2009(平成21)年4月の入学式式辞の中で、人類社会が抱える課題の解決のために「神戸大学の特徴である『総合力』を駆使して学術分野の連携を強化」することの必要性を説き、「神戸大学の多種多様な分野に携わっておられる専門家を結集し、オール神戸大学の総合力をもって、ひとつの大きな目標である『持続可能なグリーンで安全・安心な地球環境』を構築していきたい」と強調しました。そして、2年前に設置された「自然科学系先端融合研究環」による自然科学系分野の連携融合体制をさらに全学に広げて「オール神戸大学の総合力」を発揮するための新たな研究拠点の構築を目指しました。次に、外的要因は、理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」が2012(平成24)年9月から共用開始となることと、科学技術振興機構(JST)「地域産学官共同研究拠点整備事業」による施設整備費補助金(政権交代に伴う見直しあり)です。以上の内的・外的要因を背景として、全学の先端融合研究を産官学神戸大学統合研究拠点統合研究拠点に設置された神戸大学π-Computer(パイ・コンピュータ、富士通FX10)はスーパーコンピュータ「京」の1筺体です。2012(平成24)年10月1日の設置披露式にて連携により強力に推進し、その研究成果を実用化(社会実装)することを目指して旧「統合研究拠点」(初代拠点長は武田廣理事・副学長)が設置され、8つの統合研究プロジェクトが開始されました。2011(平成23)年に研究棟(本館西側)が、翌年にホール棟(本館東側)が、2015(平成27)年にアネックス棟が建設されます。2013(平成25)年4月に学際融合教育研究推進組織として改組され、2016(平成28)年4月には「文理融合」を推進する武田廣第14代学長の下で、自然科学系先端融合研究環、統合研究拠点、社会科学系教育研究府の3組織が統合再編され、文理の枠を超えた「先端融合研究環」が誕生しました。先端融合研究環の統合研究領域では、小さな分子から広大な宇宙までの幅広い先端融合研究が進められ、とくに、(1)スーパーコンピュータ「京」(後に「富岳」)を活用した計算科学研究と人材育成の推進、(2)神戸医療産業都市における医療バイオ関連研究とその社会実装の推進、の2つが戦略的に展開されました。2022(令和4)年4月、先端融合研究環の廃止に伴い学内共同教育研究推進組織として現在の「統合研究拠点」が再編設置され、「異分野共創」を推進する藤澤正人第15代学長の下で、神戸ポートアイランド地区(神戸医療産業都市)における産官学連携の中核機関として世界最高水準の異分野共創研究が全学的に進められています。 (大学文書史料室 室長補佐 野邑理栄子)[特集1] 神戸大学が挑む経営改革[特集2 神大研究ズームアップ01] 「光合成をやめた植物」の進化の謎に迫る[特集2 神大研究ズームアップ02] 緊急時に社会に協力体制を生み出す持続可能なプラットフォーム構想[神大生の挑戦] 大学創立120周年を盛り上げる学生たち[キラリ神大OG・OB] 「ベスト・ツーリズム・ビレッジ美山」の魅力を伝えるため日々奮闘![神戸大×SDGs] 学生による、学生のためのSDGs推進活動[こんにちは!留学生です]時間を忘れて研究に没頭!日本と母国の架け橋に[国際ニュース] ╱[留学だより][アラムナイ][Mini News]03081214161820212223「神大」ヒストリーhistoryof Kobe University

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る