神戸大学広報誌『風』 Vol.20
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QQQQ20 一番の理由は、今の研究室に入りたかったからです。大学時代と研究対象は工場と港湾で違いますが、手法とキーワードは近く、興味のある分野でした。 また、出身地と自然環境が近いのも理由の一つです。私は福建省の泉州市というところで育ったのですが、泉州も神戸も同じ港町で、海も山もあるというところが気に入って神戸を選びました。  神戸大学ではどのような研究をしていますか? 研究のテーマは、港湾ターミナルにおける内陸側荷役を考慮したブロックレイアウトに関する研究です。中国の大学で勉強していたロジスティクスエンジニアリングの延長で、数理モデルを構築してコンテナターミナルを再現し、コンテナをどこに保管すればいいか、トレーラーの動線や移動距離、コンテナのサイズ・種類を考慮して、通路と保管場所を最適化する研究を行っています。近年はコンテナの取扱量が増加したり、船のサイズも巨大化したりして、ターミナル側の対応をしないといけなくなっています。そのためレイアウト設計の重要度が高まっており、より効率的なレイアウトが必要とされています。ひたすら数値実験を繰り返すのですが、夢中になりすぎて食事を忘れたり、ふと時計を見ると夜になっていたりすることもあります。  今後の目標や予定を教えてください。 卒業後は日本での就職が決まっています。メーカーですが、インダストリアルエンジニアリングという部門があり、今学んでいるロジスティクスエンジニアリングを生かせるところです。そこで日本語能力も含めて、まずはスキルを磨きたいです。それから、これまで学んだことを生かして、日本と中国にも貢献したいと考えています。地理的には近い両国ですが、お互い知らないところがたくさんあるので、在日の外国人として中国の魅力を発信したり、逆に中国に戻って日本のことを教えたりできたら、留学した意味があると思います。いずれ両国の友好の架け橋になれるよう、これからも挑戦していきたいです。神戸大学に来る前はどんなことをしていましたか?中国の最も北にある黒龍江省の東北農業大学で、ロジスティクスエンジニアリング※を研究していました。倉庫における保管場所のシミュレーションをして、より効率的なレイアウトを提案しました。大学は地図で言うと北海道と同じ緯度にあり、一番寒いときはマイナス30度にもなる場所です。 大学を卒業してから日本に来て、半年間東京の日本語学校で勉強をした後、神戸に来ました。日本が好きで、実は留学が決まる前にも一人で旅行に来ていたんです。その時は東京と九州を10日間ほど旅行しました。※ロジスティクスエンジニアリング:物流やそのマネジメント(ロジスティクス)を改良していく技術               および管理手法を、体系化したもののこと留学先に神戸大学を選んだ理由は?世界各国から来た約1200人の留学生が神戸大学で学んでいます。このコーナーでは、母国の文化や習慣などの話を交えながら、国境を越えて頑張っている留学生にスポットを当てます。海事科学研究科 博士課程前期課程2年趣味・特技は音楽鑑賞とダンスで、R&Bやヒップホップをよく聴く。大学でヒップホップダンスを始め、神戸大学のダンスサークルにも参加していた。日本に来て冬の寒い日にも脚を出している人を見て驚いたそう。中華人民共和国出身地:福建省福建省は中国東南に位置する南シナ海に面した省。お茶が特産品で、コンビニなどで売られているウーロン茶の茶葉はほとんど福建省のものだそう。面積は約12万km2。森林が多く空気が綺麗な沿海都市で、対外貿易の重要な港もある。こんにちは!留学生ですMessage from a foreign student(ソ イツリュウ) 福建省泉州の北郊外にある老君岩ダンスサークルの集合写真地元の孔子廟(こうしびょう)時間を忘れて研究に没頭!日本と母国の架け橋にこんにちは!蘇 逸隆SU Yilong留学生です

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