神戸大学広報誌『風』 Vol.20
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フィールドワークと遺伝子解析で生物の共生関係を研究「光合成をやめた植物」の進化の謎に迫る植物は光合成を行うことによって、必要な養分を自ら作り出すことができる。小学校で教わる常識だが、その光合成をやめてしまった植物が存在する。自分では養分を作らず、菌類に寄生して生きる「光合成をやめた植物」の生態を、他の生物との共生関係を見つめる視点から研究しているのが、理学研究科生物学専攻の末次健司教授だ。末次教授は植物や菌類、昆虫などを対象に、寄生と共生をキーワードに生態、進化、系統に関する幅広い研究を行っており、なかでも幼い頃から興味を持っていたという「光合成をやめた植物」の研究に力を入れている。深い山の中で何日も続けて行うフィールドワークと、研究室で行う遺伝子解析の両輪を駆使して、「光合成をやめる」という進化がいかにして起きたのか、その過程の解明に挑んでいる末次教授に、最新の研究成果を聞いた。interviewee081987年生まれ。2010年京都大学農学部資源生物科学科卒業。14年京都大学大学院人間環境学研究科博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員(PD)、京都大学白眉センター特定助教を経て神戸大学理学研究科特命講師。19年より同准教授、22年から同教授・神戸大学高等学術研究院卓越教授を兼任。従属栄養植物を主な研究対象とするが、対象を区切ることなく生物の不思議を研究する。奈良県出身。末次健司研究室   https://sites.google.com/site/suetsugujp/homekaze Vol.20集2神大研究ズームアップ[01]特集 2神大集集集 2神大大学院 理学研究科 生物学専攻教授SUETSUGU Kenji末次 健司

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