神戸大学 農学部・大学院農学研究科 2021-2022
2/34

 農学とはどのような学問でしょうか。諸君が昨日朝、昼、夕方に食べたものを思い出してください。ほとんどが農畜産物であることに気が付くと思います。我々は、生きていくためには兎にも角にも食わねばなりません。その食を支えているのは農業です。農学は、農畜産物が圃場で生産され、加工されて流通し、皆さんの食卓に届くまでを対象とする科学です。この、農学の守備範囲を示す我々のスローガンが、「From Farm to Table」です。 別の観点から見てみましょう。食の確保という農学の命題は、量的側面と質的側面の2つの要素から構成されています。前者は、人類あるいは国民の生命を維持するために十分な量の食料を持続的に確保すること、後者は、健康に悪影響のない安全な食品を確保することを指しています。また、近年では、健康増進作用を持つ食品の開発も盛んに行われています。これら農学の目標を示す我々のスローガンが、「For Sustainable Agriculture and Human Health」です。 今、食の量的・質的確保を考える上で国際的視点は欠かせなくなっています。皆さんがおそらく毎日のように食べているパン、その原料となる小麦の自給率はわずか15%程度で、ほとんどを輸入に頼っています。また、私のもとには、しばしば安全性に疑義が生じた輸入農産物が持ち込まれます。このグローバル化の中、農学の諸問題を解決するためには、国際的視野をもった若者が必要です。神戸大学農学部では、フィリピン大学ロスバニョス校、米国ネブラスカ大学と提携し、様々な国際体験・語学演習のプログラムを用意しています。海外で異文化に触れれば、きっと皆さんの価値観に大きな変化が起こるでしょう。日本の文化を大切にしつつ、異文化を受け入れ尊重する、幅広い人間性が養われるでしょう。皆さんが、神戸大学農学部における4年間で、高度な専門知識のみならず、国際的視野・豊かな人間性を培うことを期待しています。農学を志す君たちへFor Sustainable Agriculture and Human Health− From Farm to Table –1農学部長・農学研究科長TOSA Yukio土佐 幸雄

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る