神戸大学 法学部案内 2022
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 どこに行っても海を見ると、かつて法学部から眺めた神戸の町とその向こうに広がる海を思い出します。教授を唸らせたい一心でゼミの発表準備に徹夜した朝も、授業後に仲間たちと議論を続けて六甲台を下った夕も、そこには変らない海辺の町がありました。ただ、あの阪神・淡路大震災では、友人たちを失った私たちに寄り添うように、その夜の眺めも、光を落としました―当時、私は、五百旗頭真先生の日本政治外交史ゼミに入ったばかりでした。国家の根本的任務が国民の生存を守ることにあるという当たり前の事実を、実体験したからでしょうか。ゼミ生は熱心で、先生はそれ以上に真剣でした(これが原点となって、私は外交・安全保障研究者の道に進みました)。こうして大学が元気を取り戻すにつれ、神戸の夜景にも少しずつ灯りがともっていきました。卒業後も、海を眺めては、このときの情景を思い出し、前に進むことができたように思います。神戸大学法学部は、素晴らしい眺望とともに、一生涯の勇気をあなたに与えてくれるでしょう。村上友章さん兵庫県立宝塚北高校出身。1997年神戸大学法学部卒業、2004年に神戸大学大学院国際協力研究科修了。現在、流通科学大学経済学部准教授。「自衛隊の災害派遣の史的展開」『国際安全保障』41巻2号で、『国際安全保障』最優秀新人論文賞を受賞。 私が神戸大学法学部に入学したのは、2002年4月でした。それから、2015年3月に退職するまで、13年間も神戸大学法学部・法学研究科にお世話になりました。 私が、神戸大学法学部を選択した理由は、その圧倒的な教員の質にありました。実定法学や政治学はもちろんのこと、法社会学、法哲学、法制史、外国法や国際関係論など、あらゆる法学関連分野において、第一線の研究者が揃っており、その点では、国内でも5本の指に入るのは間違いない、と考えたからです。そして、その伝統は今なお継続されています。幅広い分野に優秀な教員が配置されていることは、学生にとってみれば、非常に多くの選択肢が提供されていることを意味します。私も、現在の専攻は行政法ですが、学部時代には、商法や国際経済法のゼミにも参加していました。また、法科大学院を経ることにより、法曹実務家になる道も得ることができました。神戸大学法学部は、皆さんの豊かな将来に向けて、無限の選択肢を提供してくれる最高の教育・研究機関であると私は考えています。海道俊明さん国立大阪教育大学附属高等学校池田校舎卒業。2007年神戸大学法学部卒業。2009年同法科大学院を修了し、同年、司法試験合格。2011年神戸大学大学院法学研究科・法学部助教。2015年近畿大学大学院法務研究科講師、2018年同准教授。現在は、関西大学大学院法務研究科准教授(行政法)。「違法性承継論の再考」(自治研究)など執筆。 私は、法学部に入学し、学部3年次から英米法ゼミに所属しました。そこでは医療に関する法的・倫理的問題について日米比較をしつつ幅広く学び、議論をしました。ゼミ活動を通じて研究の難しさと楽しさを覚え、より専門的な研究をするために大学院に進学しました。大学院では、指導教授のご指導の下で自身の専門分野の研究を深めることができただけでなく、他分野を専攻する院生との交流を通じて自身の視野を広げることができたと思います。 また、文化系部活動の一つである書道研究会に所属し、課外活動にも精力的に参加しました。特に、音楽に合わせて書を創作する「書道パフォーマンス」活動では、学内行事に加え、自治体が主催するイベントに参加させていただくなどの経験を通じて、地域社会の中で学ぶことも多くありました。 神戸大学には、学問、課外活動問わず幅広い経験を積む機会が用意されています。ここでの経験はみなさんに「絶景」を見せてくれることでしょう。本多隼平さん2015年 神戸大学法学部卒業。2017年 同大学院法学研究科理論法学専攻専修コース修了。同年、本田技研工業株式会社入社。現在、同社知財部門において技術契約業務に従事。大学院で深く学ぶ 法学部卒業後は、大学院法学研究科においてさらに法学や政治学を深く学ぶことができます。幅広く高度な内容の専門的知識や能力を身につけ、それを社会で活用することをめざす人には高度社会人養成プログラムがあり、学術的な研究をめざす人には、研究者養成プログラムがあります。 一定の基準を満たした学生を対象に、学部と大学院をつないだグローバル・プログラム(速成プログラム)も導入されました(P7参照)。大学院で海外提携校とのダブルディグリー・プログラムに参加する学生は、学部と大学院の合計5年で学士号と2つの修士号を取得することも可能です。 法学研究科には、世界各国の留学生が在籍し、社会で活躍中の学生もいますので、多様な学生との交流を通じて自分を磨くことができます。修了生たちは、企業や官公庁、マスコミ、研究機関など様々な分野で活躍しています。詳細は本研究科のウェブサイトをご覧ください(巻末参照)。神戸大学法学部の特長④ 多様に開かれている進路1212

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