神戸大学 法学部案内 2022
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1902年に設置された神戸高等商業学校をルーツとする神戸大学法学部は、わが国の社会科学をリードする教育研究機関の一つとして、法学・政治学の学問的発展に貢献しつつ、多様な分野で活躍する卒業生を輩出してきました。2022年には創立120周年を迎えます。このような伝統の上に立ち、私たちは、高度に専門化した社会における要請に対応し得る問題解決能力および急激に進展しつつある国際的環境のなかで法的・政治的な領域における国際的な貢献を行う能力を身につけた人材を育成することを目標にしています。社会問題を分析して解決方法を探るために、法学・政治学の知識・考え方・スキルの習得はとても重要です。自由・平等・公正とは何か(政治理論・基礎法学)、人々の利害を調整して意思決定を行い、それを実行するためのプロセスはどうあるべきか(政治過程論・行政学・公法学)、社会で生じる多様で複雑な紛争をどのように法的に解決するか(民刑事法学・訴訟法学)、国同士・企業同士の国際的な紛争にどう向き合うか(国際関係論・国際法学)等を学ぶことで、私たちは社会問題を多面的に捉え、その解決に近づくことができます。現在COVID-19の脅威が世界中を覆い、感染拡大予防と経済・教育とのバランス、休業補償、在宅勤務、ワクチン供給の仕組みや治療法開発のサポート、国際的協力など、法学・政治学にも関わる多くの問題が議論されています。喫緊の課題に取り組むために必要な知識やスキルに加えて、幅広い思考による新たな発想を生み出す能力を備えた卒業生を送り出すことが、私たちの使命です。そのため私たちは、海外の大学での研究発表や留学を組み込んだ「EUエキスパート人材養成プログラム」、法学と経済学の複眼的視点により社会問題に立ち向かう学生を経済学部と協力して育成する「法経連携専門教育プログラム」など、国際性・学際性を重視した多様な教育プログラムを展開しています。残念ながら、COVID-19の影響により、この文章を書いている時点では海外渡航等に制約がありますが、オンライン授業等の機会も生かして、引き続き国際性を重視した教育を行っていきます。より高度な問題解決能力・研究能力を習得するための大学院進学促進にも取り組んでいます。2020年度から「法科大学院進学プログラム(法曹コース)」 を設置しました。法学部3年間・法科大学院2年間の一貫した法学教育により、より短い年数で司法試験に合格し、弁護士・裁判官・検察官になることを目指すプログラムです。また、「大学院法学政治学専攻進学グローバル・プログラム(速成プログラム)」は、大学院に進学して将来グローバルな活躍を目指す学生に対して、早期卒業を促進するなどの支援を行っています。神戸大学法学部がある六甲台キャンパスは、昭和初期のロマンティックな雰囲気を伝える登録有形文化財の建物を有し、神戸港や大阪湾を一望できます。そのような美しいキャンパスに皆さんをお迎えすることを楽しみにしています。教育の本質は、教員と学生の、学生同士の、人と人とのつながりを作ることにあります。COVID-19による制約に負けず、私たちは、社会問題の解決能力を有する人材、国際的貢献を行う能力を有する人材の育成を目標にして、人と人とのつながりを大事にする学びの場を作っていきます。神戸大学法学部長⻆松 生史 教授かどまつ・なるふみ 東京大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。東京大学社会科学研究所助手、九州大学法学部助教授を経て、神戸大学大学院法学研究科教授。研究テーマは、行政法、都市法。学部長からのメッセージ11

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