神戸大学 法学部案内 2022
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政治学を学ぶ栗栖薫子 教授 政治学・国際関係論は、国内外において政治のあり方を問う学問です。私たちが生きている地域、国、世界は様々な問題に直面していますが、それらに対処していくためには、様々な人々や集団の利害を調整して、望ましい解決策を生み出していく政治が求められます。 望ましい公共の利益とは何か(政治哲学)、地方・国単位の意思決定はどうあるべきか(政治過程論)、国家間の政治はどうあるべきか(国際関係論)。具体的には、国内の経済格差を解消するのがなぜ難しいのかという問いから、地方自治のあり方、テロリズムを引き起こす原因は何か、地球環境問題の解決というテーマにいたるまで、私たちの社会が直面する重大な問題を扱います。 こうした問題を考えるためには、データや資料をもとに過去の歴史から学び、現状を実証的に分析することが求められます。さらには、現実を批判的に思考する能力や、それを公共の議論にのせるためのコミュニケーション能力を高め、日本や世界で活躍する人材を輩出することが教育目標です。 神戸大学法学部では、法学と政治学を学ぶことができます。法学には、現代の日本の法(憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法の「六法」など)を基に、紛争の合理的解決を学ぶ「実定法学」、国際条約や異なる国の個人や企業の間の法的問題を学ぶ「国際法学」、法を社会学・哲学・歴史学などの手法を用いて考える「基礎法学」が主に含まれます。政治学には、国や地方での意思決定の仕組みや動態について学ぶ「政治過程論」、グローバルな課題や国際的な問題に取り組む政治について学ぶ「国際関係論」、望ましい公共の利益とは何かについて考える「政治理論」、現状を生み出してきた過去の実態を探る「政治史」などが含まれます。法学を学ぶ関根由紀 教授 法律学は、日本の法体系の基礎にある六法を土台に、知的財産や環境、労働や社会保障など、特定の分野において発生する紛争や、国境をまたいで国家間、或いは会社や個人といった私人間で発生する紛争の解決を目的とする実定法や国際法を学ぶ学問です。国際化の進む現代社会において、国家間の関係性が複雑化し、国際取引が増加し、文化や考え方、価値観の違う人々が様々な関わりを持つ中、個々人の自由を守りつつ、安定した社会を築いていくために「法」はますます重要性を増しています。これからの社会において法律の専門家はますます必要とされますが、法律の専門家でなくとも、法の仕組みや考え方を理解していることがとても重要な意味を持ちます。また法学を学ぶ際には、法律の条文や裁判例を暗記することよりも、その背景にある基本的な権利義務に基づく考え方や、解決されるべき紛争の本質を理解することがとても大事であり、それには基礎法学の勉強が役立ちます。歴史や社会観察が好きだったり、論理的思考が好きなあなたはきっと、法学を面白いと思うでしょう。神戸大学法学部で学ぶ22

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