神戸大学 理学部・大学院理学研究科 2021
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研究内容解析数理講座 高校時代に学ぶ微積分は、豊かな伝統と広がりをもつ解析学へとつながり、解析学は現象の変化の様子や無限を対象として、その中に潜む数学的構造を解明することを目的とします。解析数理講座では、この解析学を様々な視点から研究します。関数方程式:微分方程式の数理的構造を探る担当教員:太田泰広、檜垣充朗 世の中の様々な現象、例えば物体の運動、波動、流体などの物理現象、また金融などの経済現象は微分方程式で記述されます。 当分野はこれらの数理解析を礎に発展しました。実際、方程式の弱解など、現代解析学の重要な概念の多くはナヴィエ・ストークス方程式の研究を起源とします。 ここでは、物理現象を記述する非線形微分方程式について、実解析学や関数解析学などの数学理論を用いた数理的構造の解明に関する教育研究を行います。関数解析:関数のつくる空間の研究担当教員:高岡秀夫 微分や積分など関数に対する操作を、関数空間から関数空間への線形写像と見なして解析する手法を提供するのが関数解析です。熱伝導方程式という微分方程式を解くことに端を発して展開されたフーリエ解析もこれに含まれます。ここでは、フーリエ解析及び、偏微分方程式の関数解析的手法による教育研究を行います。複素解析:i2=-1で始まる豊かな世界担当教員:山田泰彦 関数の変数を複素数まで広げると、指数関数と三角関数に予期せぬ関連が生まれるなど、豊かな数学的世界が広がります。ここでは、複素関数論、特殊関数論及び関連する微分方程式及び楕円関数、リーマン面などについて、解析的・幾何的・代数的方法による教育研究を行います。構造数理講座 構造数理講座では「数や空間」を数式や空間の対称性などの構造に着目しながら、一見複雑な対象の奥にある数学的本質を明らかにしようと研究を進めています。みなさんも数学の問題を解くのに式の対称性、図形の対称性に着目した経験があるのではないでしょうか。代数学:代数方程式の解の構造を探る担当教員: 齋藤政彦、吉岡康太、谷口 隆、森本和輝、三井健太郎、佐野太郎、大川 領 2次曲線や3次曲線など代数方程式で表される図形(代数多様体)の性質を調べるのが代数幾何学です。現代では、代数的方法にとどまらず、幾何的、解析的な手法も幅広く用いて研究されています。ここでは、代数多様体とその構造理論、周期積分、モジュライ理論、整数論、保型形式と保型表現、ゼータ関数とL関数、可積分系や表現論の幾何学やミラー対称性及びそれらの応用に関する教育研究を行います。幾何学:空間の構造を探る担当教員: ラスマン・ウェイン、佐治健太郎、佐藤 進、和田康載 アインシュタインの一般相対性理論によれば、我々の住んでいる空間と時間の構造は平坦ではありません。微分幾何ではこのような曲がった空間の性質を調べます。また、我々の暮らしに身近な結び目には驚くほど豊かな数学的構造が隠されていますが、それを調べるのは位相幾何です。ここでは、微分幾何と位相幾何に関して、部分多様体、極小曲面、平均曲率一定曲面、リーマン多様体や写像の特異点、双曲空間、結び目及び絡み目に関する教育研究を行います。進化していく楕円曲線数学科談話室エンネッパーの曲面10

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