神戸大学 理学部・大学院理学研究科 2021
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数学科・数学専攻ホームページhttp://www.math.sci.kobe-u.ac.jp/index-j.html現代では、直接の応用を念頭において数学の研究が行われるのは、まれなことでしょう。しかし、数学は物理学、計算機科学、工学、経済学等に応用され、近年ますます他の分野とのつながりを増しています。例えば、アインシュタインが一般相対性理論を創るにあたって用いたのは、リーマン幾何学でした。このリーマンの理論が現れたのは、アインシュタインの理論の50年以上前のことでした。このように、数学自身の中で自律的に発展してきたものが他の分野で威力を発揮することは、不思議と言えば不思議です。しかし、これは、数学のもつ抽象性、一般性が広い普遍性を持っているからではないでしょうか。数学は、社会にどのように役だっていますか。また、他の学問とどう関わっているのでしょうか。理学部では、毎年夏休みに高校生を対象として「オープンキャンパス」が開かれます。そこで、数学科の生の雰囲気に接することができます。また、数学科のホームページからも、詳しい情報を見ることができます。さらに、そこにある各教員の電子メールアドレスで教員に直接質問することもできます。数学科について、もう少し詳しく知りたいのですが。学生ラウンジ共用スペース少人数でのセミナー 算数・数学がずっと好きだったこと、小中高と算数・数学を教えてくださった先生方が素敵だったこと、役に立たない学問をしたいという思い、荻原規子先生の小説「西の善き魔女」の登場人物ルーンへの憧れから数学科にやってきました。しかし、入学して早々非常に大きく躓くことになります。何をやっているのかわからない……自分がわからないところがわからない……と彷徨っていました。 けれども単位は取らねばと騙し騙しテストとレポートをやっていたら、だんだんと大学数学の記述の仕方にも慣れてくるものです。最初に躓いていたところがわかるようになると、やっぱり数学っておもしろいのかもと思えました。そもそも私は人間の思考を媒介するものが好きだと気づき、その中でも数学は伝わる際の齟齬が他のものに比べて小さいであろうところがいいと思いました。こういう概念をこういう風に言葉にするのだと知るのが楽しいです。 未だに学問の海を航海しているというより溺れているような私ですが、質問や相談に丁寧に応じてくださる先生方や賢くおもしろい学科の仲間たちのおかげで楽しく過ごしています。 また、総合大学である神戸大学で幅広い知見を得られたのも私にとっては大きかったです。教養科目や他学部の講義を受けたり、サークル活動や教職課程の中で他の学問を専門としている人と出会ったりして、刺激を受けることができました。 これからも、わかる部分を少しでも増やし、人間ってこんなにいろいろなことを考えられるのだなとしみじみ感じていきたいです。 神戸大学も神戸大学数学科も本当にいいところだと胸を張っておすすめできます。みなさんぜひお越しください!二神佳奈子2020年度学部卒業現在 博士前期課程1年 私が数学科という選択をした理由は、単に数学ってかっこいいという理由でした。しかし、そのようなことを言うと、こんな返事が来ることがあります。「数学なんて無駄じゃん。役に立たないじゃん。」それらの言葉について当時の私はほとんど言い返せませんでした。しかしそれでも数学科に進むのだと決め、この選択をしました。当時の私はそれくらい盲目に数学が好きであり、また得意でもあると思っていました。 そして多くの数学科の学生と同じく、私の考えは入学して間もなく崩れることになりました。それまで自分が数学のできない人かもとは、考えもしませんでした。そして、今まで盲目に数学をやってきた私も、やる価値のあるものだろうかと考えるようになりました。無駄だと結論を出して、逃げたかったのかもしれません。しかし早々にそう結論付けるのは、数学が好きだった自分が許しませんでした。その結果、次のような私なりの結論に至りました。 「数学の勉強が(勝手に)無駄になることはない。無駄にするのは自分である。」 これは数学だけでなく、全ての学問において言える事ではないでしょうか?どの学問も勉強しておいて、勝手に無駄になることはありません。利用しようと思えば様々な価値を見出せるものばかりです。私はその中でも、数学の持っている潜在的な価値は絶大であると考えております。また、私がこの考えに至れたのも、数学科で養った思考力のおかげでした。 今日、私の数学科での経験は、大いに私の役に立っています。それは決して私の職種が金融やITに関わるものだからと言うだけではありません。数学科で養った思考力や忍耐力は、社会に出て新分野を切り拓く際に、私の大きな味方となってくれています。 はじめは深く考えずに決めた選択でした。しかし数学科という選択は、今の私にとって非常に重要でかつ良い選択であったと考えております。望月舜太郎2020年度博士前期課程修了現在 シンプレクス株式会社勤務12

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