神戸大学 理学部・大学院理学研究科 2021
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物理学科・物理学専攻ホームページhttp://www.phys.sci.kobe-u.ac.jp/最近発展のめざましいインターネットやコンピュータなどのテクノロジーも、そのおおもとの基盤は物理学にあります。ですから物理の基礎をしっかり学んでおくことは、社会に出てからも大変有益であるといえるでしょう。また物理学はものごとをその根源にさかのぼって理解しようとする学問です。物理学科の講義や演習・実験を通じて、どんなことでも自分でじっくり考え、確かめていく習慣をつけることは将来どのような進路に進んでも必ず役にたつはずです。物理学科で学んだことは社会でどのように役立ちますか?物理学科で行っている研究やその意義を広く知ってもらうために、毎年サイエンスセミナーを開いています。さらに、高校生を対象とした模擬授業を実施しています。また、物理学科のホームページでも最新の研究成果を見ることができます。物理学科で行われている研究の内容はどのようにして知ることができますか?物理学科のホームページに各教員の電子メールアドレスがのっていますので利用して下さい。また、理学部では毎年夏休みに高校生を対象としたオープンキャンパスを実施していますので、その機会を利用することもできます(時期はホームページに掲載予定)。物理学科の先生と直接コンタクトをとることはできますか?夢を追う場所 「のび太くん、Aの星からBの星に一番早く行くにはどうしたらいい?」紙の両端にAとBの星があります。「一直線に行けばいいよ。」のび太は答えます。「折り曲げてくっつけるんだよ。」そう言って紙を畳んで見せました。これはドラえもんでワープの説明をした時のお話です。幼心にもはっとさせられました。ここが私の原点です。 昔からドラえもんが大好きでいつも見ていた私は、空間やら次元やらに強い興味を持っていました。ドラえもんの世界のように夢にあふれ、ちょっと不思議なそんな世界。この素敵な世界を解き明かしてくれるのが、他でもない物理なのです。SFやファンタジーよりも、現実の世界は面白いかもしれません。なぜなら、私たちはこの世界の全てをまだ知らないのですから。 そんな子供の頃と変わらない好奇心と探究心を胸に抱いて、神戸大学の素粒子理論研究室で日々楽しく研究に励んでいます。もちろん実際の研究や勉強は大変なこともたくさんあります。理論的に世界の構造を探求する素粒子理論では、紙とペンがあれば研究できるお手軽さの一方で、膨大な知識と計算が必要です。何時間考えてもたった一つの式が解けない、一度理解したつもりでも少し応用になるとわからない。いつまで経っても「わからない」ことは無くなりません。それでも、昨日の自分より今日の自分が一歩でも理解を深めることができればそれで万々歳です。自分一人で悩む必要はありません。周りには心強い仲間がおり、その道のスペシャリストである教員がいます。みんなと議論し、共に未知なる世界を探求できることは、私にとって最高の環境です。 私は常に、自分にできるかどうかを考えるより、やりたいという気持ちを優先して人生を歩んできました。私の夢である物理学者になるためには、まだまだ道は遠いですが、ここは胸を張って夢を追い続けることのできる場所であり、背中を押してくれる場所です。皆さんの好奇心、探究心がこの世界の構造に向けられているならば、神戸大学物理学科はその期待に応えてくれる最適な場所です。竹内 万記(2020年度 博士前期課程修了)現在 博士後期課程1年物理の門戸の前で この冊子の物理学科在学生からのメッセージをお読みということは、少なからず“物理学科ってどういうところ?”と興味や関心をお持ちのことだろうと思います。 物理学科では1~3年生までの間に、高校では教えてもらえなかったことを新たに学び、また、説明が不十分だったことについてより深く理解するための授業を多く受けることができます。これらの一連の授業は、これまでは抱えっぱなしで半ばわかった状態で放置していた物理現象をより体系的に理解することを手助けしてくれます。 大学は高校とは違う、ということを期待している人には少し期待はずれかもしれません。毎日、授業に出て期末にはテスト、場合によっては毎週小テストがあります。課題は多いし難しい、場合によっては真夜中まで向き合ってもにっちもさっちもいかない、なんてことだってありました。私は特段優秀ではなかったため、大変な課題の時は自力だけでは終えられず、友達の家に泊まり込んでピザを片手に駄弁って課題をこなすなんてことをして友達と助け合い、学び合いなんとか4年生になれたくらいです。 物理学科の1学年の人数は約40人で少人数です。3年間同じ授業を受けるクラスメートです。仲良くなって物理だけでなく余暇も共にする友だちもできます。物理という共通項でつながっていながら様々な個性のある友達から多くの刺激を受け、充実した毎日を過ごしてきました。物理のわかるわからないに一喜一憂し、3年間物理学というあまりにも強大な巨人と向き合ってきた戦友です。 しかしそんな私も4年生に上がり、研究室に配属されました。研究室には友達と一緒に入れるというわけではありません。物理に悪戦苦闘するヒヨッコ大学生はいつの間にやらヒヨッコ研究者の門前に立たされていました。巨人の肩の上に乗る小人、という言葉があります。偉大な先人の発見の積み重ねの上に立っているからこそ新たな発見ができるという意味のニュートンの言葉です。私はこれまで仲間とともに戦ってきたことで巨人の偉大さに気づくことができたし、仲間のいることがどれだけ心強いかということにも気づきました。私は4年生になった今、これまで戦ってきた強大な巨人の肩にのせてもらい新たな発見をするためにこれからは頑張るんだ、と意気込んでいます。皆さんともいつか巨人の肩の上で出会えることを楽しみにしています。滝川 稜人現在 学部4年生力学は物理の基本。大学に入って初めての物理専門科目です。古典力学Ⅰの授業風景物理学実験Ⅲ‒Ⅳの様子測定できなければ、物理ではありません。量子力学Ⅰの授業風景現代物理の根幹にあるのが量子力学18

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