神戸大学 理学部・大学院理学研究科 2021
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化学科・化学専攻ホームページhttp://www.chem.sci.kobe-u.ac.jp/砂漠を緑の大地に変える可能性を持つ吸水ポリマー、クリーンで高効率な近未来の発電装置である燃料電池、未来の宇宙旅行の際、大気圏突入時の高温から我々を守ってくれる耐熱材など、化学が創り出す様々な物質や新しい原理が、このような私たちの未来テクノロジーを支えます。最近急速に発展しているバイオテクノロジーやエレクトロニクスなどの分野でも化学の役割の重要性が高まっています。多くの卒業生が民間企業や公的機関のこのような技術系分野で活躍しています。また、複雑化する特許申請業務や未来の世代の教育など、直接テクノロジーの開発などから離れた分野においても、幅広い化学の知識と事象を的確に捉える目をもった人材が必要とされています。化学科で学んだことは社会でどのように役立ちますか?もちろん化学と言っても様々な領域があり、しかも、絶えず進化しています。従って、高校までで習うことと直接関係づけられない面も多々あります。しかし、いずれの教育研究も、その根底では、人類の生活をより良くするために新しい物質、新しい化学現象や化学原理を探し求めて進められていると言うことでは、違いはありません。物質の開発や化学原理の解明などを通して社会の発展に貢献したいと言う気持ちがあれば、十分やっていけます。ただ、自分がどのような教育研究の内容に興味があるのかを前もって良く見つめておくことは、必要だと思います。本学科のより詳細な教育研究の内容については、ホームページで見ることが出来ます。また、その中にあるメールリストを使って各教員から直接説明を受けることも可能です。化学に興味があるのですが、化学科の教育研究分野を見ると、高校までで学んだ化学の知識では想像できない名前が付いているものもあります。高校までのイメージで化学を選んでも大学の化学をやっていけるでしょうか? 私は工業高等専門学校(高専)を卒業後、化学系研究者を志して理学部化学科へ編入学しました。理学部は学生に対する教員数が多く、教員の専門分野も多岐にわたるため、学部の段階から、諸分野の最新の研究内容を取り扱う講義も展開されているのが非常に魅力的です。その中で、自身で分子を設計・合成し、その性質を調べる「物性化学」という分野に興味を持ち、学部4年次では無機化学分野の研究室を希望しました。 研究室では、熱や光・磁場・溶媒といった様々な刺激に応答する液体材料の開発に取り組みました。最先端の液体材料研究の潮流に乗って日夜研究に没頭できることが嬉しく、そのまま大学院 理学研究科化学専攻の博士前期・後期課程へと進学しました。担当教員や講座・専攻の強力なサポートもあり、論文執筆、国際会議での講演、学会賞受賞などの貴重な経験もさせていただきました。すべてが順調に進むわけではなく、時には行き詰まってしまうこともありましたが、自分のアイデアでデザインした分子の構造や機能を、実験結果として目の当たりにしたときの感動が忘れられず、何度も心を奮い立たせながら無事研究をまとめ上げることができました。このことは、今でも一生の財産だと感じています。 学位取得後は私立大学、公立大学の教員を経て、現在は母校である高専の教員として教育・研究に従事しています。化学の分野はまだまだ未知のことばかりです。皆さんもぜひ、理学部化学科で化学の面白さに感動し、化学の進歩とともに成長を目指しましょう。舟浴 佑典(2008年度学部卒業 2013年度博士後期課程修了)現在 和歌山工業高等専門学校 勤務 私は高校生の頃から化学が好きで、化学系の学部を探していました。その中でも理学部化学科を選んだのは、専門的な知識を学びながら教職免許の取得も目指せるからでした。神戸大学理学部は他の学部よりも学科あたりの人数が少ないので、全体的にアットホームな雰囲気があり、学生同士や先生と学生の距離が近く和やかです。1回生から3回生までは化学を学ぶ上で必要な基礎知識や、化学の様々な分野について知見を広めます。一言に化学といっても、高校で聞いたことがあるような有機化学や無機化学に加えて、物理化学や生化学などその分野は多岐にわたります。授業のなかには高校生までの化学のイメージと異なり理解が難しいこともありましたが、先生方の丁寧な解説や仲間との協力によって最新の化学に通ずる深い学びを得ることができました。 4回生からは研究室に配属され、本格的に研究を行います。私は3回生の基礎実験の際に興味をもった生化学分野の研究室を選び、小さなタンパク質を設計、合成しその機能を明らかにする研究を行っています。研究は勉強とは異なり未知を解明するので困難も多いですが、尊敬する先生や先輩方とディスカッションを行うことで新たな発見ができ、研究をすすめることができています。また、関連する論文を読んだりほかのメンバーの研究内容を聞いたりすることで専攻分野の知識をより一層深めることができていると感じます。 化学は私たちの日常生活に身近につながっています。そんな化学の最先端が学べる理学部化学科で充実した大学生活を過ごしてほしいと思います。池田 美玖(2020年度学部卒業)現在 博士課程前期課程1年学生居室の様子研究室の実験風景24

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