神戸大学 理学部・大学院理学研究科 2021
29/44

研究内容生体分子機構講座分子生理: 動物の感覚や行動を司る神経系の生理機能を分子・細胞・行動レベルで理解する担当教員:佐倉 緑 動物は経験によって行動を柔軟に変え環境に適応します。この適応的な行動を生み出す感覚器や脳における情報処理の機構について、昆虫の攻撃行動やナビゲーションなどを題材として研究しています。細胞機能: 地球上の生命存在の基本である植物の機能を、 分子、細胞、個体レベルで明らかにする担当教員:深城英弘、石崎公庸、近藤侑貴、加藤大貴 光合成を行なうことで固着する生き方を選択した植物は、周囲の環境変化に応じて細胞の働きや成長・発生パターンを変えることができるようになっています。この環境応答能を陸上植物進化の基部に位置するコケ植物の発生機構から明らかにする研究(石崎、加藤)、維管束細胞の発生運命及び機能を明らかにする研究(近藤)、植物ホルモン応答と根の発生機構から明らかにする研究(深城)を行っています。情報機構: 動物の脳神経系の働きや細胞の形態・運動制御、 膜輸送制御の仕組みを探る担当教員:宮本昌明、森田光洋、塚本寿夫、柏﨑 隼 細胞の形態・運動、膜輸送制御に関わる情報伝達因子、情報交換因子の働き(宮本・柏﨑)、哺乳動物の脳において発達したグリア細胞の一種であるアストロサイトに着目し、脳の情報処理や組織再生(森田)、動物が持つ光受容タンパク質オプシンの機能発現・機能制御メカニズムと、オプシンの特性を利用した光操作ツール(塚本)に ついての研究を行っています。生命情報伝達講座形質発現: 多細胞動物の発生現象や細胞機能の遺伝的 プログラムを解明する担当教員:井上邦夫、坂本 博、松花沙織、巳波孝至 選択的RNAスプライシングの制御機構やRNA-タンパク質顆粒の機能(井上)、線虫や小型魚類を用いた生殖細胞の形成分化機構や小分子RNA機能(坂本・井上・巳波)、ニワトリ胚における神経堤細胞の運命決定機構(松花)について、発生学、遺伝学、生化学分野のさまざまな解析手法を駆使して研究を行っています。モデル生物の線虫(上)、ニワトリ胚(左下)、ゼブラフィッシュ(右下)遺伝情報: ゲノムの安定維持と多様化を制御する 分子メカニズムに迫る担当教員:菅澤 薫、横井雅幸、酒井 恒 ゲノムDNAは生体内で発生する代謝産物や種々の環境因子によって絶えず損傷を受けており、これが癌をはじめとする様々な疾患の原因となる一方、進化の原動力にもなることがわかっています。本教育研究分野は、ゲノムの安定維持と多様化に関わるDNA修復機構、DNA損傷に対する細胞応答を制御するシグナル伝達、DNA修復とエピゲノム制御のクロストークなどに焦点をあて、生化学、分子生物学、細胞生物学など、様々な手法を用いて研究を進めています。緑色蛍光タンパク質を融合したXPCタンパク質を安定発現する細胞核の局所に紫外線を照射すると、DNA損傷を修復するために集まってくるタンパク質を可視化することができます(左は照射前、右は照射60秒後の画像)。野外で飛翔中のセイヨウミツバチと屋内での飛翔実験(左上)、クロコオロギの攻撃行動(左下)、セイヨウミツバチ脳の光学顕微鏡写真(右)研究材料として用いるシロイヌナズナ(左上:根の先端の切片像。右上:維管束分化誘導後の子葉。特定の組織を蛍光タンパク質で可視化している。)、ゼニゴケ(下)左から、分裂酵母細胞とその液胞膜、分裂酵母細胞のアクチ ンと核、マウス大脳皮質の神経細胞、異なる波長の光によってオン・オフできる「二状態安定型」オプシン28

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る