神戸大学 理学部・大学院理学研究科 2021
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研究内容遺伝子機能: 細胞の増殖、死、および老化と 個体発生における遺伝子機能を探る担当教員:鎌田真司、影山裕二、岩崎哲史 個々の細胞の老化制御機構の解析を通して個体老化のメカニズムに迫る研究(鎌田)、ショウジョウバエ個体発生における小さなペプチドおよびノンコーディングRNAの機能に関する研究(影山)、ヒト等の哺乳類培養細胞を用いた細胞癌化、悪性化、およびアフリカツメガエルを用いた初期発生におけるシグナル伝達機構に関する研究(岩崎)、を行っています。生物多様性講座生態・種分化:生物の多様な適応進化と生態系機能を探る担当教員:奥田 昇、佐藤拓哉、末次健司 生物が関わる自然現象を分子レベルから生態系レベルまで階層横断的に理解することを目指して、森・里・川・湖から海洋沿岸に至る集水域に生息する生物の進化・生態・生活史に関する研究や生物多様性と生態系の多機能性に関する研究に取り組んでいます(奥田)。陸域と水域生態系の境界域を主な対象地として、様々な時空間スケールでなされる生物間相互作用やそれと生態系機能との関係を解明することを目指しています(佐藤)。植物や昆虫、キノコの自然史を研究しています。特にラン科植物や光合成をやめた植物を対象に、栄養の供給源であるキノコや花粉を運んでくれる昆虫の解明といった生物間相互作用に関する研究に取り組んでいます(末次)。進化・系統: 藻類の多様性や進化に関する基礎的な研究と、 沿岸・湖沼域の環境保全に資する教育研究を行う担当教員: 上井進也、坂山英俊、大沼 亮、羽生田岳昭、川井浩史、鈴木雅大 褐藻類の種分化・生殖隔離機構に関する研究(上井)、沿岸海域・湖沼生態系の保全と修復に関する調査・研究(上井・川井・坂山・羽生田)、シャジクモ藻類の系統進化とゲノム解析などから見た陸上植物の起源に関する研究(坂山)、盗葉緑体性渦鞭毛藻類の多様性・一時的共生メカニズム・進化に関する研究(大沼)、大型藻類の系統進化と系統地理、移入海藻類の遺伝的多様性と生物地理に関する研究(川井・羽生田)を行っています。発生生物学連携講座 (大学院教育)発生のしくみを遺伝子と細胞のはたらきとして記述し、系統進化のコンテキストの上で理解する(国研)理化学研究所 生命機能科学研究センター担当教員:倉谷 滋、林 茂生、森本 充 発生生物学は受精卵が個体に発生するまでのゲノムと細胞の働きを理解する学問です。本連携講座では発生・再生科学の知識と実践的な研究能力を備えた優れた人材を育成することを目的とします。ショウジョウバエの形態形成(林)、マウス呼吸器の発生と修復再生現象(森本)および脊椎動物の形態進化のメカニズム(倉谷)に関する研究を行っています。生物制御科学連携講座 (大学院教育)農薬・家庭防疫薬の活性発現機構、代謝や移行など、生物と生理活性物質の間で起こる現象を解き明かす。住友化学(株)健康・農業関連事業研究所担当教員:河村伸一、大和誠司、岩橋福松 本連携講座では、哺乳類を対象とする医薬と異なり、農薬・家庭防疫薬分野の研究を中心として、昆虫、菌類、植物など複数の生物種を対象とした生理活性物質の活性発現機構や生体内での代謝や移行など、生物と生理活性物質の間で起こる現象を解明する研究を行います。老化細胞に現れる空胞構造(左上)、ショウジョウバエの神経回路形成を制御するLobe-less RNA(赤:Lobe-less RNA、緑:神経芽細胞)は、胚発生において、頭部脳半球(左側)と体の中心を走る神経節に発現する(右上)、アフリカツメガエルと受精卵(下)卒業・修了後の進路 生物学科卒業後、大半は大学院に進学しており、学部で学んだ専門的知識や技術をさらに深めています。就職する人は一般企業、公的機関に就職しています。一般企業では製薬会社や食品会社、教育関連会社、公的機関では各省庁関連の機関や研究所などがあります。 大学院前期課程修了後、1~2割は後期課程に進学しており、就職する人は一般企業、公的機関の研究所・事業所や教員として就職しています。一般企業では、製薬会社、食品関連会社、化学系メーカーの他、教育関連、情報関連の会社にも就職しています。後期課程修了後には国内外の大学や研究機関において研究職に就く場合が多くなっています。学部卒業生の進路(2018~2020年度)本学大学院 56民間企業   12その他他大学大学院  100教員・公務員大学院博士課程前期課程(修士)修了生の進路(2018~2020年度)本学大学院民間企業   50その他     4他大学大学院 2教員・公務員 458藻場生態系の長期モニタリング調査(日本海但馬海岸)。長期的な環境変動が沿岸生態系におよぼす影響を明らかにするため、大型海藻類の植生を長期的に観察・記録しています。重要害虫ワタアブラムシ(左)、殺菌剤処理した植物病原菌(中)、除草剤処理により白化したカイワレダイコン(右)ショウジョウバエ(左上)、カメの甲発生のモデル(左下)、マウス(右)。水面下で繰り広げられる生物と環境の相互作用(左)、光合成をやめた植物であるヤクノヒナホシ(右)29

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