神戸大学 理学部・大学院理学研究科 2021
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研究内容基礎惑星学講座地質学: 地層や岩石から地球の変動・環境・生命の歴史を探る担当教員:山本由弦、山崎和仁 地球上の地層や岩石は、地球の長い歴史の中で形成されてきたものです。これらを調べることで、過去の地球の姿が明らかになるとともに、その将来についても予測できるようになります。そこで私たちは、海でも陸でも地質調査に出かけ、地層と岩石の分布や構造を調べます。また、試料を採取して研究室に持ち帰り、年代(化石や地磁気)や物性、化学組成などを分析します。このようにして、過去の季候や海洋環境の変動、人類を含めた生命の進化、地震や火山噴火のメカニズムを明らかにすると共に、これらがどのように関係しているかを解析し、複雑な地球のシステムを解き明かそうとしています。岩石学・鉱物学:岩石・鉱物から読み解く惑星の過去と未来担当教員:金子克哉、瀬戸雄介、清杉孝司、中岡礼奈 私たちは、地球という巨大な岩石の上に暮らしています。岩石は様々な大きさや種類の鉱物から出来ており、鉱物は様々な結晶構造と元素で構成されています。すなわち固体惑星の性質を考える上で、最も基本的な単位が「岩石・鉱物」であるといえます。岩石学・鉱物学分野では、岩石や隕石、それらを構成する鉱物に秘められた情報を様々なスケールで読み解き、太陽系、惑星、地球の形成・進化、火山活動メカニズムなど、さまざまなプロセスを解明することを目的に研究に取り組んでいます。固体地球物理学:地震と地球のダイナミクスの謎に迫る担当教員:吉岡祥一、筧 楽麿 固体地球物理学教育研究分野では、地震波・測地・地殻熱流量データの解析や数値シミュレーションを通して、地震の発生メカニズム、地殻~マントルの構造・ダイナミクスの解明を目指した研究を行っています。大地震・ゆっくり地震はなぜ起こるのか?地震が起こったら断層で何が起こるのか?地殻~マントルの構造はどうなっているのか?海洋プレートは沈み込んだらどのように変形し、その層構造はどうなるのか?など、地震や地球内部に関する純粋で、根源的な疑問を解き明かすべく、コンピュータを駆使した研究を進めています。流体地球物理学:普遍的な惑星表層環境論の構築担当教員:林 祥介、高橋芳幸、樫村博基 地球には海があって生物が存在しますが、そのお隣の火星と金星はそれぞれ酷寒と灼熱の環境で海はなく生物も存在していないように見えます。こうした惑星表層の顔つき(環境)の違いがどのようにして生じたのかを理解するため、私達は理論(現象の数理物理的な記述)・数値実験(単純化した流体モデルから大気大循環モデルまで)・観測(惑星探査機を使った観測計画の立案と実施)といった手段を使って、惑星の気象や気候を支配する理の解明を目指しています。惑星宇宙物理学: 惑星系、太陽系小天体、衛星-リング系の起源と進化を解明する担当教員:大槻圭史、中村昭子、平田直之 太陽系外の惑星系(系外惑星系)が多数発見され、我々の太陽系だけでなく系外惑星系も含めた、惑星形成過程の解明が大きな課題となっています。また惑星探査や大型望遠鏡による観測、さらには理論研究の進展により、小惑星や衛星・リングといった天体についての理解が大きく進み、これらの起源と惑星形成過程を統一的に理解することも重要な課題です。当研究室では理論研究を中心として、このような問題の解明に取り組んでいます。新領域惑星学講座実験惑星科学: 太陽系進化のミッシングリンクを探査と室内実験で探る担当教員:荒川政彦、保井みなみ 太陽系進化の道筋で、これまで最も謎とされてきたのが、原始太陽系星雲の塵から微惑星、そして現在の惑星へと至る過程です。原始太陽系星雲と惑星のミッシングリンクを埋める証拠は、現在、小惑星帯に無数とも言えるほど数多く存在する小惑星や巨大惑星を周回する衛星に残されています。我々は、はやぶさ2を始めとする惑星探査や室内実験を通して、このミッシングリンクを繋ぐ鍵を探すために研究を行っています。地球深部探査船「ちきゅう」。世界中の研究者が集まって海洋底を掘削し、惑星地球の多くの謎・ヒミツを解き明かす。約9万年前のカルデラを形成する大規模な噴火のあと、現在も活発な活動を続ける阿蘇火山の様子。沈み込んだスラブの上部・下部マントル境界での滞留(上図)と下部マントルへの崩落(下図)の数値シミュレーション例探査機カッシーニが撮影した土星の環と、コンピュータによる環の中の小衛星への粒子集積の再現例左上:はやぶさ2地上衝突実験、右上:室内実験、下:はやぶさ2分離カメラが撮影した人工クレーター形成の様子(Arakawa et al., 2020)34

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