神戸大学 理学部・大学院理学研究科 2021
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惑星学科・惑星学専攻ホームページhttp://www.planet.sci.kobe-u.ac.jp/2015年度から「惑星学科」に変わりましたが、2014年度までの授業内容とどれくらい変わったのでしょうか。地質学や火山学などの授業は無くなってしまったのでしょうか?授業の内容は、「惑星学科」への改組に向けてその数年前から見直し再編をすすめて来ましたので、2015年を境にして大きく変わってはいません。地質学あるいは火山学は惑星学を構成する重要な分野ですから、野外実習や観測実習など実際に地球を体感する授業を充実させ、宇宙や気象などの学問を志向する学生にもその履修を強く求めています。逆に、惑星の形成進化や惑星大気のような分野も学ぶ必要があります。日本は四方が海で囲まれているため、海は身近な存在です。神戸大の惑星学科では、海に関わる研究が行われているのでしょうか?海の底では、約60,000km(地球1周半の長さ!)にもわたる巨大山脈があり、地球上の火山活動の約8割が海の中で起こっています。宇宙から降ってくる隕石や岩石を調べることで、なぜ太陽系の歴史を知ることができるのでしょうか?多くの隕石は、今から約46億年前に太陽系が形成され始めたころにつくられたものです。これらの物質は,太陽系生成期の様々な情報をその中に秘めています。例えば隕石をよく調べると水を含んだ鉱物が見つかることがあります。これは隕石の母天体において、かつて水が関与する変質反応があったことを示しています。このような情報を読み解くためには様々な手法を用いて詳しく分析する必要があります。惑星学科では隕石の分析によって、原始星雲から微惑星がどのように形成し、成長・進化していったかを調べる研究室もあります。 惑星学科は新たな出会いと発見がある学科だと私は思っています。というのも私自身、高校生の時には宇宙の研究に興味があってこの学科を選びましたが、現在は興味が変わって地球の火山について研究しています。この変化のきっかけとなったのは、惑星学科で受けた様々な講義です。講義で扱う内容は、地球のことから宇宙のことまで幅広く、例えば、鉱物結晶の数ナノメートルの構造から惑星や太陽系の形成まで様々なスケールの現象に及びます。これらの講義の中で私が最もピンときたのが火山活動についてであり、噴出するマグマがどの様にして発生しているのか、ということに魅力を感じて研究のテーマとして選びました。 実際に研究を行うようになってからは、講義で得た様々な分野の知識がとても大切であることに気付きました。これは惑星学科のどの分野も互いに様々な点で繋がっており、自分の研究課題への深い理解や独創的なアプローチのためには幅広い知識を持つことが重要だからです。よって幅広い知識を学べることは惑星学科の良い点だと思っています。 最後に私が惑星学科で最も気に入っているのは、様々な場所に行けるところです。私はこれまでの研究で、北海道から鹿児島までの様々な火山に訪れました。それらどの火山も雄大で美しいのですが、それぞれ火山ごとに個性があり、新たな火山に行くたびに感動と発見があります。なので、これまであまり惑星学科に興味がなかった方も、まずは自然の美しさを堪能してみてください。きっとそのうちに「なぜ~?」という疑問がわき出てくるはずです。自身の興味がはっきりしている方も、なんとなく自然が好きな方も、きっと自分にぴったりの研究と出会えると思うので、ぜひ惑星学科への入学を考えてみてください。菊池 瞭平(2020年度 博士前期課程修了(修士(理学)取得))現在 博士後期課程1年 “広い自然に対して様々な角度から基礎知識を畳みかけ、スペシャリストとして選択的に学問を極める。” 惑星学科の魅力はこれに尽きると思います。惑星学科は、鉱物学や地震学、惑星学など地学に関する様々な学問を扱い、地球内部から太陽系の果てまでの現象を幅広く学ぶことができる学科です。そして、既習の学問の数だけ知識の「道」を作ってゆき、四年生の研究室配属時にその中から一本の「道」を選択し、自分が本当に興味のある分野のスペシャリストになることができます。私は四年間の勉学を終えて、どの学問にも「ミクロな視点で本質を追求する」という共通した核があることを学びました。またその学びを通して、最終的な「道」での学習や社会に出た時に必要となる問題解決能力を身につけることができたと感じています。 私は、惑星の起源と進化を明らかにする惑星学を扱う研究室で一年間研究を行っていました。三年時に受講した惑星学の実験実習において、実験結果が実験室内に留まらないことを強く実感したことが配属を決めたきっかけです。私の研究内容は、探査機はやぶさ2が捉えたクレーター形成の記録をもとに、小惑星表層に存在する岩塊の挙動を実験室内で再現・解析するというものでしたが、手と頭を動かすことで得られる結果の規模はこの学問にしかない大きな魅力だと考えています。もちろん周りには他の分野を専門とする人もいて、普段自分が打ち込んでいる研究とは全く違う話を聞けたり、様々な知見を深めたりすることは非常に楽しかったですし、それぞれの価値観を共有しながら切磋琢磨することで、日々の授業や試験も乗り越えてきました。 このように、惑星学科は非常に多様性をもつ学科ですが、常に能動的な姿勢で沢山のことに興味を持っていると想像以上に充実した大学生活を送ることができるはずです。そんなチャンスが散りばめられた場所で、新たなスペシャリストが誕生することを楽しみにしております。戸田 瑞乃(2020年度 学部卒業)現在 花王株式会社 勤務海上実習(左)、オープンキャンパス(中)、懇親会(右)ところが、この活動は深海底で起こっているため、人類はその噴火活動を一度も目にしたことがなく、こうした火山活動が地球システムのなかでどのような役割を果たしているかなど、まだまだわからないことがたくさんあります。惑星学科では、このような未知の領域に取り組んでおり、海上や海底で地球物理的な観測をする研究室や、深海や陸上の堀削を通して最先端の科学を推進しているグループがあります。36

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