神戸大学 大学案内
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保健学は、心身の健康と疾病や障害に関する教育と研究を通して、人類の幸福と社会福祉の向上に寄与する実践的学問です。近年、医学およびこれに関連する科学は目覚しい発展を遂げており、医学・医療のあらゆる分野において新しい技術が次々に開発されています。また、我が国は世界でも有数の超高齢社会を迎えており、これに対応した医療・保健・福祉などの制度改革が求められています。看護学専攻、検査技術科学専攻、理学療法学専攻及び作業療法学専攻を擁する保健学科では、このような社会の要請に応えるために、健康の維持・増進、疾病や障害の予防、患者のケア、病因・病態の解析や検査・診断技術、心身機能の回復、代償、補完などに関する教育と研究を通して、最新の保健・医療を支える有能な人材育成に取り組んでいます。教育課程を通じて授与する学位に関して、国際的にも卓越した教育を保障するため、以下に示した2つの方針に従って学士の学位を授与します。●保健学科に所定の期間在学し、それぞれの専攻が定める卒業に必要な単位を修得する。●卒業までに、医学部保健学科学生がそれぞれの課程を通じて達成を目指す学習目標は次のとおりとする。「人間性と倫理性」豊かな人間性と保健医療における高い倫理性を身につける。「創造性」旺盛な探究心と創造力に加えて、課題を設定し解決できる能力を有する。「地域性・国際性」多様な価値観を尊重し、地域社会へ貢献するとともに国際的に活躍できるための基礎的能力を有する。「専門性と協働」医療の基礎学力と高度な専門知識を習得した専門職として、保健医療福祉チームにおいて協働できる。学位授与に関する方針看護学は、あらゆる「ひと」の「Life/生きること」の質を向上するため、人間の尊厳と権利を尊重し、ひとの「生命・生活・人生」と、共に影響しあう「環境」、それらすべてを対象として包括的にとらえ、支援するための実践科学です。本学では、人間の尊厳と権利を重視する看護専門職の基盤となる人間性、倫理性、創造性、専門性を育成するために、ケアリングを軸として、経験学習を重視した、卓越した看護学教育を提供いたします。さらに、地域性・国際性及び多職種協働(inter‐professhional work: IPW)の能力を培うために、保健学並びに関連諸学問についての教育を提供します。そして、卓越した資質・力量を備えた看護専門職者を育成し、保健医療福祉などの幅広い分野の実践・教育・研究において活躍し、地域・国際社会への貢献ができる人材の育成を目指します。 医学部(保健学科)School of Medicine健康に資する知識と実践的技術の修得一国家の枠を超えた世界的な課題、グローバルイシューに高齢化があります。全世界で猛威を振るう新型コロナウイルスは高齢であること自体が重症化リスクであるように、高齢化は身体はもちろんのこと、経済や社会などあらゆる面に影響を及ぼします。日本は長らく平均寿命世界一の地位にあるため、日本の高齢化対策には世界中が大きな関心を寄せています。日本の死因の上位を占める悪性新生物・心疾患・脳血管疾患を根絶できたとしても、平均寿命を数年延ばすことしかできないとされます。また現在のところ、寿命を120歳以上にすることはできません。これは寿命が生物学的限界に近づいていることを意味し、今後の医療の目的は命を延ばすことから、健康で自立した生活を送れる期間、健康寿命を延ばすことへ、パラダイムシフトが起きると考えられます。保健学は、人間の健康を保つための学問です。それを学ぶ医学部保健学科では、高齢化というグローバルイシューに対抗するための知識にとどまらず、医療的に解決するための実践的な技術も修得することができます。ここでは私の研究分野に関連する高齢化についてお話ししましたが、保健学の対象は高齢化に限らず、世代・人種・性別を超え広範にわたります。保健学に魅力を感じたら、ぜひ入学ください。大学は求める者に開かれている場所です。多くのことに挑戦し、人類の健康に資する人材となってくれることを期待しています。保健学科 教授森山 英樹医療・保健・福祉を通して、人類の幸福と社会福祉に貢献看護学専攻保健学科教員メッセージ医学部(保健学科)Kobe University38

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