神戸大学 大学案内
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近年の医学および医療の分野における革新と発展には、優れた臨床検査技術の開発と応用が大きく寄与してきました。病気の早期発見、診断および治療や健康状態の把握に必要な臨床検査は、今やまさに医療の中核的役割を担う1つの分野として位置付けられ、チーム医療においても中心的な立場に立っています。さらには、治療薬、診断薬や医療機器の研究開発分野においても貢献の場を広げています。臨床検査技術がこのように高度になって役割を広げ、医学・医療の向上に寄与するための重要な責務を負うようになった現在、その人材を養成する国立大学においては、より高度な基礎・専門知識および技術と研究開発能力を獲得させる教育が必要です。検査技術科学専攻では、生体情報を科学的に解釈し、それを診療へ最大限に提供できる能力だけでなく、医療人としての自覚と倫理観を備えた人間性豊かな臨床検査技師、さらに臨床検査学・医学を中心とする分野の第一線で活躍しうる研究・教育者を育成することを目指しています。超高齢社会、疾病構造の変化、さらに障がい者の社会復帰や福祉向上は、リハビリテーション医学における機能回復をひとつの医学領域と位置付け、重要な役割を担うものとして社会が要請するようになりました。理学療法は、物理療法や運動療法によって身体の機能回復を図るもので、他のすべての医療分野と直結しています。そのために、近年のチーム医療では医師及び看護師等の医療スタッフとの密接な連携と相互の協調が必要となります。さらに理学療法学の分野では医療における重要な役割と高度な技術への対応が要請され、高等教育による人材の育成が必要となってきました。一方、高等教育における養成機関は少なく、医学及び医療の変化に必ずしも対応できていないと思われます。理学療法学専攻においては、理学療法の基本を学び、身体機能や能力を評価・分析し、最善・最新の理学療法を提供できる能力を養います。さらに科学的視点から思考する能力を養いながら、将来、科学的根拠に基づいた効果的な理学療法を実践し、創造できる専門家の育成を使命としています。我が国の医療・保健・福祉施策は、世界の情勢に伴って、個々の人権の尊重と地域支援という方向に変化しています。作業療法士は、これらの分野において活躍が期待されています。その主な役割は、医学の知識を十分に有したうえで、対象者のもつ作業特性を理解し、環境や個人因子を配慮した治療技術と支援を提供することです。作業療法士に要請されることは、対象者の病期に応じた機能障害の回復、生活手段の獲得、社会復帰への支援などの作業療法技術です。さらには、対象者に関わる多職種との優れたコーディネート能力も重要です。作業療法学専攻では、身体や精神に障がいのある子どもや成人、高齢者に対してさまざまな作業活動を提供することで、その人が持っている、もしくは望まれる身体的・精神的機能を最大限に発揮できるようにするため、その方法を学ぶだけでなく分析・応用能力を磨き、対象者のあらゆるニーズに対応できる能力を養います。学部の特色医学・医療・保健に関する幅広い知識と高度な専門技術とともに、豊かな人間性や倫理性も求められており、総合大学の利点を活かした教養教育にも大きな比重を置いています。12学生約160人に対して、60人を越える教員の人数。1つの学部にも匹敵する規模と陣容を誇り、国内でもトップクラスの教育機関といえる充実した体制を整えています。3大学院保健学研究科も設置され、高度な知識と技術をもった高度医療専門職や包括的かつ国際的な視野を備えた研究者の養成まで一貫して行うことが可能となっています。検査技術科学専攻理学療法学専攻作業療法学専攻保健学科には各医療分野に精通した先生方が多くいらっしゃいます。看護学専攻では、チューター制度があるため、勉強や進路、大学生活などの相談をすることができます。学生間のつながりも強く、アットホームな雰囲気が魅力です。私の4年間で最も印象に残っているのは病院実習です。実習は自己の課題を見つけ、今後のモチベーションアップにつながります。また、日々の学びが患者さんへの看護に結びつくことを実感でき、大学は自身のためだけでなく、人のために学ぶ場でもあると思うようになりました。多くの知識と経験を得ることができ、大きく成長することができる学科です。学生メッセージ保健学科看護学専攻4年杉原 萌将来性を高める強いつながり人のために学べる場医療従事者の勤務先として真っ先にイメージするのは病院かもしれません。しかし、それ以外にも施設や企業、大学院、研究所、行政など多岐にわたります。神戸大学の保健学科は少人数なので、同期はもちろんのこと、先生方や先輩方とのつながりもとても強いのが特徴です。様々な分野で活躍されている先生方や先輩方と深く関わることができるため、視野が広がり、将来の選択肢が大きく広がります。何でも出来て何にでもなれる可能性を秘めた大学生活、神戸大学の保健学科で将来性をさらに高めてみてはいかがでしょうか。卒業生メッセージ保健学科理学療法学専攻2020年3月卒神戸大学大学院保健学研究科佐伯 謙太幅広い知識と技能、豊かな人間性を備え、チーム医療の中で活躍できる医療職者の育成を目指しています少子高齢化が進む我が国において、人々の健康の維持・増進、疾病の予防のほか、障がい者の社会復帰やノーマライゼーションは、今後ますます重要課題になっていきます。さらに看護師、臨床検査技師、理学療法士や作業療法士など医療専門職者が果たす役割や活動フィールドは拡大傾向にあります。こうした医療福祉環境の中で、人間の健康と幸福を求め、福祉の向上に寄与、貢献する高度な専門技術を備えた人材を育成していきます。医学部(保健学科)Kobe University39

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