神戸大学 統合報告書 2023
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「人材」の創出神戸大学バリュースクール(V.School)は、多様な人や知識が交わり、新たな学問的価値や社会的価値を生み出す「場」です。他大学に先駆けて価値創造教育への取り組みを開始しており、大学の構成においても価値創造教育の強みを有する、本学ならではの組織です。V.Schoolのコンセプトは、価値創造について全学的に議論し合い、教育と研究にフィードバックできる、全学生・全教職員に開かれた価値共創の場であることです。様々な価値についての議論を通して価値や価値観を涵養するV.Schoolサロン、価値創造に資する問題解決を経験的に学習するProject-BasedLearning(PBL)/Field-Based Learning (FBL)、学生自らが問題設定からその解決までを主工学部では、「世界的課題解決に向けた工学系グローバル人材育成のための国際共修/協働学修プログラム」が、文部科学省「大学の世界展開力強化事業」に採択されました。本プログラムは、カーボンニュートラルやSDGsに伴うグリーン成長戦略など世界的課題解決に資する「複眼的視点とリーダーシップをもつ次世代工学系グローバル人材」の養成を目的としています。2022年3月には本学学生30名をロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)に派遣しました。学生は現地で、RMIT教員による授業やワークショップに参加し、学内の研究室のほか、豪州政府系機関や民間企業も見学しました。さらに、2023年度から、RMITとマヒドン大学から工学部サマースクールへの学生受け入れを神戸大学アントレプレナーシップセンターは、新たなビジネスの創出とアントレプレナーの育成を行っています。研究者によるスタートアップの創出に加えて、学生起業家の育成にも注力しています。本センターの設置により、各部局と協力して全学にアントレプレナーシップ教育を実施する体制が整いました。2023年1月には第1回神戸大学ビジネスプランコンテストを開催し、学内の起業文化の醸成にも寄与しています。本センターの目玉は、2022年に設立した「神戸大学起業部」です。部員たちは、同じ志を持つ仲間と切磋琢磨できるだけでなく、最前線で活躍する起業家やベンチャーキャピタリスト、専門家な開始しています。本プログラムの特長は、以前参加した経験のある学生を海外学生のサポート係に任命したり、現地インストラクターを務めた院生を受け入れ学生のリーダー役として招聘したりするなど、継続的な関係構築に取り組んでいることです。また、全学教育センター群による支援体制も組み込んでいるため、今後、全学的なリソースとの連携も期待されます。取り組みの継続により、近い将来に卒業生がこのネットワークを土台とし、全世界でリーダーシップを発揮することを願っています。どスタートアップエコシステムの重要な構成員と交流できます。約50名の部員で活発に活動しており、設立1年目でありながら、学生のビジネスプランコンテストの最高峰であるキャンパスベンチャーグランプリで日本一にあたる経済産業大臣賞を受賞しました。神戸大学発スタートアップの創出とその基盤となるアントレプレナーの輩出に注力し、地域経済の発展や社会課題の解決に貢献していきます。体的に進める学生価値創造プロジェクトなど、学部・研究科での教育活動と連動した価値創造教育の体系化・実践を行っている、言わば新たな知の創出拠点です。神戸大学の責務は、他大学に先駆けて価値創造教育を進めてきた強みを活かし、価値創造に資する教育体系を構築して社会に貢献することであり、そのための重要な■となりえるV.Schoolの方向性を、真剣に見極めていきたいと考えています。30新たな知の創出拠点を目指して、異分野共創を進める玉置 久 教授・副学長(システム情報学研究科/バリュースクール長)継続的な関係構築で世界展開力を強化〜大学の世界展開力強化事業〜鈴木 広隆 教授(工学研究科)スタートアップ創出と学生起業家育成のために熊野 正樹 教授(アントレプレナーシップセンター長)TOPICS

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