神戸大学 統合報告書 2023
5/60

神戸大学は、10学部15研究科を擁する総合大学で、世界を牽引する卓越した研究を展開しています。2021年4月1日に学長に就任した際、「学理と実際の調和」という本学の建学の理念を具現化する「知と人を創る異分野共創研究教育グローバル拠点」を新たな神戸大学ビジョンとして掲げました。その実現に向け、学内組織体制の見直しと研究教育活動における改革を推進しています。世界に貢献できる地域中核研究大学としての使命を果たせるよう、研究・教育体制、産官学連携、地域連携、施設整備、運営体制、事務組織体制などの強化に取り組んでいます。(▶P.7神戸大学のフィロソフィー)研究においては、本学が世界を先導する領域である「バイオものづくり」「先端膜工学」「医工学」「健康長寿」「社会システムイノベーション」を中心としたデジタルバイオ・ライフサイエンスリサーチパーク推進機構を2023年10月に設置しました。カーボンニュートラルやウェルビーイングなどの社会的課題の解決に取り組んでおり、拠点とするポートアイランドでの事業をより一層推進し、神戸医療産業都市での本学のプレゼンスを高めるとともに産官学連携の深化を図っています。(▶P.23知の創出)そして、次世代のフラッグシップとなる卓越研究を育成するために、異分野共創研究企画・創出委員会、先端的異分野共創研究推進室の活動を活性化し、新領域での異分野共創研究の創出を強化しています。そのために、学術研究推進機構の体制を整備し、特に優秀なURA(University Research Administrator)を配置して全学的に研究推進を支援し、新型コロナウイルス感染症で低迷した国際共同研究の推進に向けても全学的な事業を継続・強化しています。(▶P.25知の創出)また、大学の総合知を活かし、産官学連携によるイノベーションエコシステムの強化、スタートアップの育成に取り組んでおり、(株)神戸大学イノベーション(本学の承認TLO)を真に大学に必要とされる堅固な組織に整備していく考えです。さらに、産官学連携本部を中心として地元自治体との強化を図り、地域での本学のプレゼンスを高めるとともに、社会から求められる事業の推進を目指します。(▶P.35環境の創出)このような改革を推し進めていくための成長エンジンとなる外部資金の獲得において、今後も財源の多様化と好循環を進め、長期的な財務計画のもと全学的な研究教育の発展に資するよう努めていきます。(▶P.41財の循環)学生は夢を持って大学に入学します。その夢を叶えるために、大学の教員は愛情を持って教育し、全学をあげて夢に向かって頑張る学生を積極的に応援することが必要です。次世代を担う優秀な人材の育成は、大学の大きな使命であり、社会や大学の発展には不可欠なものです。しかしながら、博士課程へ進学する学生数が年々減少しています。博士課程への進学を目指す学生への支援は、将来の日本の産業の発展、研究力を担う若手研究者の育成支援につながり、ひいては大学の発展にも寄与するものです。早期から優秀な研究者を育てるための一貫した教育支援体制を構築するために、将来的には、高大接続事業、入試制度改革により光る原石を発掘して、高校から、学部、大学院に至るまで一貫して大学が支援し、次世代の大学を支える卓越人材を育成することも考えています。人への投資、人件費はコストともとれますが、人は育てれば大学の貴重な財産となり、新たな時代を切り開くエネルギーともなります。研究大学の責務である次世代研究者の育成は、短期的ではなく長期的04世界への貢献を使命として次世代の卓越研究を推進長期的な視点で人材育成

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る