神戸大学広報誌『風』 Vol.21
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19男性7人、女性3人が馬術部の同級生(後列の左から2番目が新垣さん)テントの後ろのきゅう舎は今も健在愛馬・松籟(しょうらい)と障害飛越に挑む 新垣さんは入学してすぐに馬術部に入った。新入生勧誘の体験乗馬で「筋が良い」というおだてに乗ったのが、きっかけだった。ただ「当時の経営学部には日本トップクラスの教授が何人もいらっしゃった。この先生方が『生涯の友人をつくるため、クラブ活動も大事にするように』とおっしゃる。私も馬術に熱が入りました」と新垣さん。馬を世話するため、馬房に泊まり込み、部員同士、夜通し語り合った。一方で部活の合間には選択していない講義に出席。夜間部(当時)の講義に出るなど、勉強の手も抜かなかった。1964年、4年生で出場した関西学生王座戦では、その年の全国大会優勝校と競り合い、2位になった。同年の東京五輪では総合馬術競技の学生役員に就任。そこで日本と全く異なる海外の馬の乗り方を知った。 就職後も社内の馬術部に入り、馬と関わり続けた。障害馬術の国際審判員の資格を取得し、「世界の馬術」に手が届いた1998年、神戸大学OB会の強い要請で、大学馬術部の監督に就いた。会社は週休3日制。週末に東京と神戸を往復するハードなスケジュールを10年以上こなした。学生との関わりは刺激的でやりがいを感じたが、直接的な大学関係者ではない監督の苦労も痛感した。部内の問題はすべて自らが解決を図らなければならなかった。この状況を変えようと2021年に発足したのが、体育会系公認課外活動団体OBOG会連合会。「最後のご奉公」と進んで初代会長を引き受けた。私立大学の強豪ひしめく学生スポーツの世界。この中で新垣さんは全日本学生馬術連盟の副会長・理事、関西学生馬術連盟の会長を今も兼務する。東京五輪時の様子(左から2番目が新垣さん、軽井沢) 自身の学生時代を「明治以降の日本人で最も恵まれた世代」と振り返る。私学の年間40万円に対し、9000円という破格の授業料。素晴らしい講義を受け、クラブ活動を満喫した。「同様に充実した大学生活を後輩学生にも送ってほしい」。新垣さんの「ノブレス・オブリージュ」の思いはそこにある。 PROFILE新垣 恒則(あらがき・つねのり)1941年神戸市生まれ.神戸大学経営学部卒業、日本IBM入社。神戸大学馬術部在籍時に東京五輪総合馬術学生役員、日本IBM馬術部在籍時には日本社会人馬術連盟副理事長も務めた。1998年から2010年まで神戸大学馬術部監督、2015年まで技術指導を行った。国際審判員の資格を持ち、2004年学生馬術世界選手権(東京)の障害馬術主審を務めた。2016年2月から関西学生馬術連盟会長。2021年4月から神戸大学体育会系公認課外活動団体OBOG会連合会会長。日本馬術連盟2022年度功労者表彰受賞。

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