神戸大学 文学部 2023
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神戸大学文学部は1949年に文理学部として創設され、2019年には創立 70周年を迎えています。この間、社会の情勢は大きく変化し、学部の構成もその時々で変化してきました。今では、哲学、文学、歴史学、心理学、言語学、芸術学、社会学、美術史学、地理学など広い学問領域をカバーする 15 の専修によって構成されています。 学部の構成が変わっても、人類の叡智の蓄積としての古典と現代的問題を結びつけて考えるという人文学の営みそのものは不動です。アドミッションポリシーにもある通り、これからも文学部は、古典を通して人文学を深く理解するとともに、社会的対話により人文知を実践していく能力を身につけ、現代社会において活躍できる人材を育成する「場」であり続けます。 いま私たちが生きている社会は、インターネットや AI などの技術の急速な進展、また不定期に突然襲ってくる疫病や災害などによって不可逆的に変動しています。こうした時代においてこそ、これまでの人類の叡智の結晶である古典に一旦立ち返ることが求められます。これまで人類はこのような変動にどう対応してきたのか、いまの変動はこれまでのものとは本質的に異なるものなのか、そうしたことを知の根源から考える基盤を古典は与えてくれます。また、こうした学問的態度が「場」の中に自然な形で埋め込まれていることが文学部の大きな強みでもあります。 文学部では異なる文化との対話の機会も多く提供しています。2012年に始まった「神戸オックスフォード日本学プログラム」では、オックスフォード大学東洋学部日本語専攻の2年生全員(約12名)が1年間文学部で日本語・日本文化を学習します。このプログラムにより、オックスフォードの学生と日本の学生が話をしている姿をキャンパス内でよく見かけるようになり、学生にも大きな影響を与えています。また、夏に行われるオックスフォード大学での英語・イギリス文化研修に学生が参加するようになり、海外体験への関心が高まっています。 このように文学部は、人類の叡智の蓄積としての古典と現代的問題を結びつけて考えるという人文学的営為を継承・発展させるべく努めています。「言葉や文化、人間の行動、歴史や社会に対する幅広い関心と好奇心を持っている人」、「既成の価値観にとらわれることなく、自分で問題を発見し、探求していくことができる人」(「文学部アドミッションポリシー」から)が文学部に進学してくださることを、私たちは心から期待しています。3文学部長長坂 一郎(Nagasaka Ichiro)文学部長からのメッセージ

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