経済学の根幹をなす理論がミクロ経済学です。個人や企業の行動を最大化問題の解と捉え，全員の解が整合的になる状態が実現すると考えることによって，人々の欲望が交差する経済社会の性質を数学的に解明します。研究したい部分を掘り下げた数式モデルを作ることで，データや言葉のみの分析では到達できない理解に達することができます。なぜ景気は変動するのでしょうか。経済成長のメカニズムは何なのでしょうか。インフレ（デフレ）と失業はなぜ発生するのでしょうか。このような経済全体に関する諸問題を扱うのがマクロ経済学であり，人々の豊かさの向上を目的としています。また政府や日本銀行の望ましい政策を考えるには必要不可欠な学問分野です。六甲台一口メモ l 経済学部の授業が行なわれる六甲台本館や図書館をはじめ，５つの校舎が文化庁の登録有形文化財に指定されている。 文化財に囲まれたキャンパスライフはいかが？10公共経済学 理想的な条件の下では，市場はうまく資源を配分します。しかし，その条件が崩れると市場はうまく機能しない可能性があります。このとき，政府が経済に介入することでより望ましい資源配分を達成できるかもしれません。公共経済学では，政府がどのような場面で，どのような政策を用いて経済に介入すべきかを議論します。財政学 財政学とは，政府の収入および支出を通じた経済活動が国民経済にどのような影響を及ぼすかを，理論・制度・歴史などあらゆる側面から研究する学問です。なぜ私たちは税を払わなければならないのでしょうか。払った税がどのようにして使われているのでしょうか。その結果私たちの生活はどうなるのでしょうか。これらの設問に対する答えを見つけていくのも財政学の大切な仕事です。金融経済論 世の中にはお金を貸したい人，逆に借りたい人がいます。「金融」は資金の融通のことで，資金余剰者と資金不足者をつなぐのが金融機関や金融市場です。神戸大学の伝統では金融論とは言わずに，「金融経済論」と呼んでいます。金融経済論は，金融と実体経済（物価・生産・雇用など）がどのように関連しているのか，そして金融政策や金融監督行政がどのようにあるべきかを研究する学問です。国際金融論 米中冷戦，新型コロナウイルスの感染拡大，ロシアのウクライナ侵攻など世界経済に大きな影響を与える出来事が相次いでいます。局地的な出来事がどのようにして世界経済に波及するのでしょうか。経済のグローバル化によってもたらされた様々な問題を金融的側面に注目して研究するのが国際金融論です。国際貿易論 洋服や食べ物，映画など，ちょっと見渡せば，身の回りは外国製のもので一杯です。また海外の人々も日本製の財やサービスを利用しています。これらは皆，国際貿易や海外直接投資などの活動を通じて実現されます。国際貿易論の主要課題は，各種の国際経済活動の要因や形態あるいは政策的介入の効果を解明し，それらが人々の暮らし向きとどのように関係しているのかを探求することです。開発経済学 開発経済学は，途上国の経済社会問題の現状を把握し処方箋を考える分野です。例えば，農業，教育，貿易，金融，交通，エネルギー，大気汚染，感染症，汚職，所有権，民族対立などの経済や社会の幅広いトピックについて，経済理論とデータ，現地の文脈をもとに分析します。それは他国だけでなく，自分の国や地域を良くする手助けにもなるはずです。ミクロ経済学マクロ経済学日本経済史 高校までの日本史では過去に起こった事柄を勉強してきたと思います。日本経済史は，その知識を生かし，経済学の考え方や歴史的資料を使って，さまざまな事柄がどうして起こったのか，そして何をもたらしたのかを考える分野です。そうすることによって，遠い過去から明治時代，さらに現在や未来にかけての経済的な変化が，世界的なコンテクストの中で，より的確に読めるようになるのです。西洋経済史 わが経済学部では，時代別に２科目の西洋経済史の科目が提供されています（「中近世西洋経済史」と「近現代西洋経済史」）。「西洋」とは，ほぼ「欧米」のことを指しますので，日本も含めた西洋以外の地域に，長いこと経済成長のモデルを提供してきた地域の経済の歴史を学ぶ科目ということになります。ただし，「東西（東洋西洋）」は「南北」と違って，相対的な区分です。それがどういうことを意味するのかも考えていきましょう。計量経済学 毎日の生活の中には，株価や為替相場等の様々な経済データに関する情報があふれています。計量経済学とは，統計分析手法を用いて，このような経済データを分析し，経済予測や政策評価等を行う学問です。特に，コンピュータの急速な発展に伴い，この分野の研究の進展は目覚ましいものがあり，学生の皆さんにとっても必須の分析手法の一つとなっています。統計学 情報化社会に生きる私たちの身の回りは，様々なデータであふれています。しかし，適切な分析なくしては，データはただの数字の並びに過ぎず，そのままでは役に立ちません。与えられたデータをもとに，有益な情報を抽出し，意思決定に役立てるための学問が統計学です。何でも学べる多彩な専門分野
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