神戸大学 大学院経済学研究科・経済学部 2023
7/40

 まことに小さな国であった日本が,近代化へと邁進しつつあった1902(明治35)年3月27日,勅令第98号によって「神戸高等商業学校」が設置されました。神戸大学設立の年です。以来百十数年の歴史の中で,実に多くの有能な人材を,実業界や官界,政界へと輩出してきました。焦土と化した神戸の街が国際港としての活気を取り戻しつつあった1953(昭和28)年には,大学院経済学研究科が設置され,わが国の経済学研究の拠点の一つとして多くの有能な研究者を育ててきました。このように,神戸大学経済学部・経済学研究科の歴史は,まさに日本の大学の経済学教育・研究の軌跡そのものであると言っても過言ではありません。皆さんは,六甲台正門の階段を上がり切った時の,淡い褐色に包まれた重厚な建物に,深く永い静かな時の流れを感じるはずです。 現在経済学研究科では,8大講座のもとに経済学系のみで50数名という国内最大規模のスタッフ陣から構成されています。経済学の専門領域をほぼすべて網羅する教育,研究体制を整えていると言っても過言ではありません。学部カリキュラムは,基礎から応用への段階的な履修が可能な体系的教育システムとなっています。また経済学を学ぶ上で重要な資質となる数学と英語の能力に秀でた人材を育てるべく,数学選抜,英数選抜,総合選抜という新しい入試制度も2018年からスタートしています。 学生の国際的な交流が盛んであることも,経済学部・経済学研究科の大きな特徴です。海外協定大学での留学を組み合わせ,英語で経済学の専門的知識を習得するIFEEK(5年一貫経済学国際教育プログラム(International Five-year Economics Education Program at Kobe))を2013年にスタートさせました。IFEEKは学部2年生から始まり,博士課程前期課程まで最短5年間で修了することができるとても魅力的なプログラムです。修了生は様々な分野に就職しており,いずれも第一線で活躍しています。さらに博士課程前期課程においてすべての講義が英語で行われるGMAPs(Global Master Program in Economics)も準備されています。また経済学と法学の学際的な領域を深く学んでいく法経連携専門教育プログラムもあり,同プログラムは海外での学修機会も取り入れる形で発展しつつあります。そしてこのような充実した教育体制を持続できているのは,学部・大学院の卒業生,修了生から組織されている「凌霜会」の深いご理解と多大なるご支援があることに,我々は心より感謝しています。 皆さんが集い学び,教員が日夜研鑽に励み,自然が静かに四季を奏でている。こうした営みが1世紀以上にわたって繰り返されていることに,私は「大学における美」を感じます。歴史に熟成された真の美こそ,神戸大学経済学部・経済学研究科の美しさに他なりません。2022年,神戸大学は創立120周年を迎えます。皆さんと共にさらなる美の進化に尽力したいと思います。経済学部長・経済学研究科長05松林洋一05

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る