神戸大学 理学部・大学院理学研究科 2022
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生物学科・生物学専攻 生物学は身近な生きものを対象とした親しみやすい学問ですが、「生命とは一体何なのか」という私たちにとって最も難しい問題を解決しようとしている学問でもあります。この問題へのアプローチの仕方は、大きくふたつに分けられます。すべての生物に共通する基本原理を知ることによって生命を理解しようとする立場と、生物の多様性や生物どうしの関係を知ることによって理解しようとする立場です。ここ生物学科では両方の立場を3年次までの学部教育を通じて学んだ後に、4年次の特別研究において、自らのテーマで最先端の研究現場に参加することができます。また生物学科では、学部4年間の修学指導体制として学年チューター制度を設けています。入学時に2名の教員が学年チューターとなり、その学年の卒業時まで持ち上がりで学生それぞれの修学状況を把握し、必要な場合には助言するとともに、学生からのさまざまな相談を受け付けています。 生物学科では広範な基礎知識の上に自らの興味ある分野を詳しく学習できるようにカリキュラムを編成しています。まず生物学の幅広い領域をカバーする8つの基礎科目があります。その後、より専門的な各分野の講義に進みます。さらに生物学の研究に必要な実験の基礎から最先端の手法の一端まで学べる生物学実験、英語論文から最新の情報を収集するための生物学演習を必修科目として課しています。野外実習と臨海実習は実際に生物に触れて学習する機会を提供しています。これらの科目以外にも、特別講義「生物学のすすめ」では、多様な職種に就いて活躍する生物学科の卒業生らの講義から、「生物学と社会とのつながり」や「生物学に対する考え方」について学ぶこともできます。 —‌生物学科‌—生物学科の講義◎進化系統学基礎◎生化学基礎◎植物生理学基礎 臨海実習Ⅰ◎初年次セミナー◎生態学基礎◎細胞生物学基礎◎野外実習Ⅰ 集中講義‌生物学のすすめⅠ◎動物生理学基礎 Introduction‌to‌Biology◎分子生物学基礎◎生物学実験ⅠA 臨海実習Ⅱ 集中講義‌生物学のすすめⅡ 形態形成論 分子シグナル伝達学 分子生物学 植物ゲノム学 分子細胞情報学 植物分子発生学 ゲノム動態学 神経生理学 神経行動学◎生物学演習Ⅰ◎生物学実験ⅡA◎生物学実験ⅡB◎生物学実験ⅡC 野外実習Ⅱ 集中講義 生体分子機構Ⅰ,‌Ⅱ 生物多様性Ⅰ,‌Ⅱ 生命情報伝達Ⅰ,‌Ⅱ◎発生遺伝学基礎 分子進化系統学 海洋生物学◎生物学実験ⅠB 分子遺伝学 遺伝情報機能論 植物環境適応論◎生物学演習Ⅱ◎生物学実験ⅢA◎生物学実験ⅢB◎生物学実験ⅢC 進化生態学 生態科学 行動生理学 共生細胞生物学◎特別研究A,‌B淡路島での臨海実習1年2年3年4年◎は必修科目1Q/2Q/3Q/4Qはクオーター制による4期前期(1Q,2Q)後期(3Q,4Q)http://www.edu.kobe-u.ac.jp/fsci-biol/複雑な生命システムの謎を解き明かす 20世紀半ばからの基礎生物学の発展が、21世紀の生命科学技術の爆発的展開を可能にしようとしています。生命が分子でできた自己触媒的で創発的なシステムであることや、生物の多様性が重要だということを私たちに気づかせてくれたのも基礎生物学です。私たち生物学科・生物学専攻はレベルの高い研究を行い、その成果を世界に向けて発信することによって、生命科学の基盤としての基礎生物学の発展に大いに貢献することを目指しています。充実した生物学教育を通して、生命とは何かという基本的な認識を持ち、健全なバランス感覚を持って今後の生命科学を見守ることのできる人材、あるいはさらに発展させる人材を養成したいと考えています。教育の特色 —‌生物学科‌—Department of Biology

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