神戸大学 就職ガイドブック 2024-2025
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分からないことは知ったかぶりをせず、遠慮なく聞きなさいと指導しているので、学生にガクチカって何?と聞きました。学生時代に力を入れた活動やその内容のことで、ES(エントリーシート)に書くものだと教えてもらいました。なことが書かれているかを知る機会に恵まれましたが、ほとんどの学生のガクチカはクラブやサークル活動、あるいはバイトでの経験談が中心で、自分がいかにそれらの活動の中で成長し、役に立ってきたかについて書かれていました。後日就職担当の方に聞くと、どのガクチカも同じような内容で余り参考にはならないとのことでした。ESを外部の業者に委託して採点してもらう企業も増えているとのことをラジオの放送で聞いたこともあり、自分を売り込むのは大変だと思いました。というような話を学生にしたところ、それではどんなことを書けばいいのですかと質問を受けました。すぐに答えた内容は、学生時代に一番力を入れたものはやはり本業である勉強その後ガクチカにどのよう皆さんこんにちは。キャリアセンター長の玉岡です。皆さんに直接会って就活の話を是非したいのですが、そのような機会は残念ながら多くはありません。文章を書くことによって皆さんに就活や学生生活についてお話できればと思います。以下の文章は私自身の経験や学生たちの活動、学生への指導内容などに基づいて書いています。就職を辞書的な意味で解釈すると職に就くということになります。就活とは職に就くための活動だということになります。ところが日本の大学生の就活を見ていると、職に就くというよりは、社に就く(=就社)ことを目的にしているように思えます。「どんな」仕事をするかではなく、「どこで」働くかに主眼があるかのようです。私は学生時代に経済学を勉強しました。そこで一番びっくりしたのは、働くということについて経済学でどう捉えているかということでした。経済学では労働市場に労働という生産要素を供給し、企業はその生産要素を需要して、その対価として賃金を支払うということを教えます。ではないような考え方ですが、私がびっくりしたのは、労働力やそれを提供する人間が商品になっているということでした。奴隷制の世の中ではありませんが、自分の労働力を売買し、労働力を提供している時間中は自分の時間であっても自分の時間ではないということでした。どうしてこのような仕組みの世の中になったのかを経済学の古典を読みながらずっと考えましたが、そうこうするうちに大学院へ進学することになり、就活の現場に出ることはありませんでした。私にとっては経済学者という職に就くことに重きを置いていて、どの大学で働くかまでは十分思慮を巡らせることができませんでした。数年前だったでしょうか。学生たちの会話の中にガクチカという言葉が出てくるようになりました。何ら不思議■就職とは■ガクチカ神戸大学キャリアセンター長玉岡 雅之(経済学研究科教授)11キャリアセンター長からのメッセージMESSAGE FROM CAREER CENTER

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