神戸大学広報誌『風』 Vol.22
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10 神戸大学広報誌「風」Vol. 22て考える過程にする。そしてそれを皆さんにも聞いてもらい共有するという形です。近藤 防災や安全は一つの学問領域にとどまらず、多様な分野の方が関わっていますから。テーマが尽きることはこれから先もないと思います。北後 私は直接的な分野というより、考え方や哲学的なところに興味がありました。常にいろいろなことを調べ、つながりのない人にも連絡して来てもらって。でも、近藤先生も大変ではないと言っていましたよね。近藤 はい。自分の気づき、知的好奇心が満たされる学びが毎月ある。それが楽しみになっています。―地震・津波や風水害、火災、海外の災害事例紹介にとどまらず、事故や感染症、メンタルヘルスなど幅広いテーマで開催されています。テーマはどのように探されるのでしょうか。室崎 最初の頃は伝えたいことが山ほどあって。それから社会的に重要な災害をテーマに選び、それがつながっていきましたね。北後 はい、そのときどきでホットな話題を追ってきました。災害に関するものを対象にしながら分野を広げ、自分自身も聞きたいこと、知りたいことをどんどん取り上げました。紹介しながら自分も勉強し、吸収し―時代に合わせて運営も進化しています。北後 コロナ禍を経て、オンラインとのハイブリッド開催になりました。より多くの方が参加しやすくなり、可能性の広がりという点では大きな意味があると思います。それぞれが自由に話すというスタイルは守りたいですね。室崎 対面だから初めて伝えられる気持ちもありますから。対面の場もまた増やせるといいですね。近藤 今年から新たに会員制を導入しました。講師の動画を後からでも見られるようにしています。つながりのなかった方にこのゼミを伝える手段にもなっています。室崎 益輝 [ MUROSAKI Yoshiteru ]名誉教授1971年京都大学大学院工学研究科博士課程単位取得退学。1987年神戸大学工学部教授。2004年名誉教授。1997年市民参加型「RCUSSオープンゼミナール」を立ち上げる。主な公職に、消防研究所理事長、消防庁消防大学校消防研究センター所長など。2010年防災功労者(内閣総理大臣表彰)を受賞。 常にいろいろなことを調べ、つながりのない人にも連絡して来てもらいました北後 明彦 [ HOKUGO Akihiko ]名誉教授1985年神戸大学大学院自然科学研究科環境科学専攻博士課程修了。財団法人消防科学総合センター研究員、建設省(当時)建築研究所主任研究員などを経て、2007年神戸大学都市安全研究センター教授。2022年名誉教授。災害があればその現場において経験と教訓を蓄積していくことを基本としてきた。市民自身が強くなることにつながらなければ安全な社会にはなりませんホットな話題、尽きることのないテーマ

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