神戸大学 学生広報誌『door』Vol.02
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「時間管理など簡単ではないが、指導教員         で、日本の教育との違いを強く実感。ユネスコ憲章前文にある「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」というミッションにも感銘も受け、5カ月のインターンシップ後に就職を決めた。同じ年の春、神戸大学大学院博士課程後期課程にも籍を置き、ユネスコ勤務の傍らで研究を続ける二刀流の道を選んだ。日中はフルタイムで仕事があるため、早朝や夜間、週末を有効に使い、ラオスでの「自律的学校運営と教育効果」について研究を進めている。指導教員の小川教授とは、オンラインでやり取りをし、年2、3回帰国した際には大学に足を運び、研究のみならず実務においても適宜指導を受けている。からの研究指導や学友らにも支えられている」。ユネスコ勤務の実務の中で気づいたことを研究に生かし、研究で学んだことを実務に還元するというサイクルもプラスに働き、多角的な視点で教育開発に携われる強みも実感している。オフィスの80人ほどのスタッフは、タイ、中国などアジア系の職員が大半で、日本人は野口さんを含めたったの3人。「好きな研究の延長線上で仕事させてもらっているのでやり甲斐を感じている」。実務に研究にと、忙しい毎日も意に介さない。のぐちまさや:1995年、業大学柏高校、早稲田大学文千葉県船橋市生まれ。芝浦工化構想学部文化構想学科を卒業後、2018年、神戸大学大学院国際協力研究科に入学した。神戸大のキャンパスアジアプログラムを活用し、韓国・高麗大学校国際大学院に(経済学、国際学)を取得している。タイ・バンコク在住。も1年留学し、両大学の修士趣味は、出張する機会を生かした観光。地元の目新しい料理を味わうのを楽しみにしている。中でも、幸福の国と言われるブータン王国は、伝統が今も数多く残っている点で、一番のお気に入りの場所だという。自分自身の大学・大学院生活を振り返り、「大学時代に夢や目標を持っている人は、それを達成するために、短期、中長期のロードマップを明確にしてほしい。ただ、夢や目標がまだ決まっていない人は、多くのことに興味、関心を持つことが重要。学内外の人との関わりを築いてほしい。人生の選択肢を増やすことが大切だ」と後輩に温かいエールを送る。これからの目標は「世界のすべての子どもたちが質の高い学校、教育にアクセスできるようにすることが一番の目標。世界的なビジョンに対し、自分が少しでも貢献できるといい」と熱く語った。神戸大学を卒業・修了後、さまざまな分野で活躍する先輩を紹介するコーナーの第2弾は、国連の専門機関ユネスコで教育コンサルタントとして第一線で活躍しながら、神戸大学大学院国際協力研究科博士課程後期課程で研究を続ける二刀流の野口雅哉さん(29)に登場してもらった。野口さんが2020年6月から勤務するのは、タイ・バンコクの「ユネスコバンコク地域事務所」だ。教育局の教育政策を担当するチームに所属し、カンボジア、ラオス、ミャンマー、シンガポール、タイ、ベトナムの加盟国6カ国を中心とした教育政策や5カ年、10カ年計画など長期の教育計画策定の支援に携わっている。中でも、教育政策を実行するための予算が、どのくらい必要かを予測分析するのを担当しているといい、カンボジア、ラオスの2カ国を中心に国レベルの教育行政を下支えしている。大学時代は今の専門分野とは異なる文化人類学を専攻。当時はイスラム国と呼ばれたISのテロが横行し、イスラム教やイスラム文化圏に興味を持った。国際問題を一つの国の代表を演じながら議論する「模擬国連」を行うサークルにも入り、異なる国の立場・視点から議論する中で、自身の国際理解を深め、論鋭的な思考力を培った。神戸大学大学院国際協力研究科で小川啓一教授の指導を受けたことが、ユネスコへの道につながった。アジア最貧国とも言われるラオスを対象にした教育開発を研究する中、2018年夏に2カ月、ラオス・スポーツ教育省でインターンシップを行う機会に恵まれた。政府レベルで教育政策がどのように運営されているのかを知ることができ、また現地の小学校を調査する過程ALUMS OUT AND ABOUTあちこちの卒業生02バンコクでユネスコ勤務と研究を両立野口雅哉さん大学院国際協力研究科博士課程前期課程修了博士課程後期課程在籍

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