文学・ドイツ文学専修9授業では最近の卒業論文から「ティークの『金髪のエックベルト』における物語世界の混沌」、「ケストナーの『ファービアン』における女性たち――戦間期ベルリンにおける社会と個人」、「グリム童話における沈黙について」、「トーマス・マン『トリスタン』における生と死の狭間」、「シュリンク『朗読者』における〈場所〉について」、「フランツ・カフカ『流刑地にて』について ― 存在における罪と裁判行為の正当性」、「フケー『水の精』における「水」と「魂」の連関性 ― 騎士フルトブラントの「回帰」」、「E.T.A.ホフマン『ブランビラ王女』における〈笑い〉が掻き立てる現実」卒業後は教員からのメッセージ卒業生からのメッセージ久山 雄甫准教授ドイツ思想史、雰囲気学。ゲーテの作品を中心にとりあげつつ、ドイツ語のガイスト概念の変遷史を研究しています。またゲーテ研究を手がかりにして、雰囲気学という新学問領域の立ち上げにも挑戦しています。教員の紹介増本 浩子教授ドイツ現代文学。特に20世紀のスイス・ドイツ語文学。ブレヒト以降の演劇論や、スイスにおける多言語多文化主義といったテーマにも取り組んでいます。 ドイツ語は4年間かけてしっかり学習します。文学作品を読みこなすだけの読解力を習得するための授業のみならず、コミュニケーション能力を重視した授業もネイティヴの教師によって提供されています。それと並行して、ドイツ文学史やドイツ文学特殊講義といった授業を通して専門的な知識を身につけ、演習でレポートや論文の書き方を学んでいきます。卒業論文を仕上げることが最終目標ですが、それが無理なく完成できるような仕組みになっています。ドイツ文学専修は小さな専修ですが、大学生活の中では、この小ささが大きなメリットになります。毎日の授業は少人数で行われるので、教員の指導が行き届き、学生同士も親しい人間関係を作りやすくなっています。 就職先はさまざまですが、中学校や高等学校の英語教員になる卒業生、あるいは一般企業でも新聞社や航空会社のように、語学力を生かせる職場を選ぶ卒業生が多いです。ここ数年は公務員を志望する学生が増えています。毎年何名かは大学院に進学して、より専門的な研究を続ける卒業生も少なくありません。 ゲーテやカフカといった名前に代表されるように、ドイツ文学は近現代の人文知において重要な一角を担ってきました。哲学や宗教、造形芸術や音楽との様々なつながりも見逃せませんし、身近なところではグリム兄弟やエンデなどから興味を持つ人も多くいるでしょう。本専修では広く深く、ドイツ語圏の文学・文化・思想を研究することができます。みなさんも独文の大海原に漕ぎ出してみませんか。思いもかけない新しい世界が、時間的にも空間的にも広がっていきます。(久山雄甫) ドイツ文学専修では、文学作品を通じて、歴史や思想や音楽など、あらゆる興味を探究することができます。ゼミでは、先生方から幅広い知識を吸収し、仲間たちと切磋琢磨しながらかけがえのない時間を過ごすことができました。卒業論文執筆にあたり、最終的には1つの作品・作家と向き合うことになります。いつしか、その作品が自分を支える1冊となり、生きた国も時代も違う作家を友達のように感じる日がやってくることでしょう。私は卒業後文学とは縁のない世界に飛び込みましたが、興味にとことん向き合い、運命の1冊に巡り会えた4年間は、確実に私の糧となっています。是非、ドイツ文学専修で、自分の「好き」を探究してみてください。 (永尾美沙子 2022年3月卒業 第一生命保険株式会社勤務)ドイツ語文化圏を知ることは、ヨーロッパを理解する■。 ドイツ文学専修では、ドイツ語で書かれた文学を研究対象としています。ドイツ語はヨーロッパの中心に位置する4つの国、ドイツ、スイス、オーストリア、リヒテンシュタインの公用語です。また、北イタリアやフランスのアルザス地方、ルーマニアのトランシルヴァニア地方などにもドイツ語を話す人々が住んでいます。これらのドイツ語圏の国々や地域は、歴史的・文化的にオランダやチェコ、ポーランドなどの近隣諸国と深いつながりをもっています。これだけの広がりをもつドイツ文学/ドイツ語文学は、さらにまた、哲学や音楽といった他の学問領域とも密接な関係にあります。つまり、ドイツ文学専修で学べることは、みなさんが想像する以上に広範なものなのです。 授業では中世から21世紀までの文学を幅広く取り上げます。まず文学的なテクストとの付き合い方を学ぶことから始め、ドイツ語で書かれたさまざまなテクストを緻密に読み解く作業を通して、作品の構造やテーマ、思想といったものを考察していきます。そこにはこれまでまったく知らなかった世界が広がっているはずです。 文学研究が扱うのは人間そのもの。文学を学ぶことは、私たちの生きる世界を確実に広げ、豊かにしてくれます。ドイツ文学専修
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