史学・西洋史学専修13授業では最近の卒業論文から「古典期ギリシアにおける神話とジェンダー−エフェソスのアマゾン神話を中心に」「スパルタの外交政策と神話の関係性」「中世ブルターニュのキリスト教と民衆信仰̶9世紀から13世紀の聖人伝を通して−」「中近世アルプス地域における商業・交通−ベルニナ峠の事例から−」「18世紀末から19世紀初頭のパリにおける服飾品小売」「19世紀末から20世紀前半のイギリスにおけるチョコレートの消費」「19世紀イギリスのインド植民地:インド高等文官を中心に」「20世紀転換期アメリカの映画産業と移民の流入̶エジソン・トラストが残したもの―」「ソ連の作曲家D.ショスタコーヴィチの実像̶政治権力と作品解釈の観点から―」卒業後は教員からのメッセージ卒業生からのメッセージ小山 啓子教授西洋近世史。フランスの王権と都市社会を中心に研究しています。佐藤 昇教授西洋古代史。古代ギリシアの歴史を様々な角度から研究しています。藤澤 潤准教授西洋近現代史。中東欧・ロシアを中心に研究しています。教員の紹介髙田京比子教授西洋中世史。中世イタリアを中心に研究しています。 西洋史の授業は、基本的に4年間の学習で卒論の作成が可能となるよう、有機的に組み合わされています。1年次には史学入門や人文学基礎(西洋史)に参加して、大学で西洋史を学ぶための問題意識を育てます。2年次から洋書講読(英・仏・独)の演習に参加し、研究に必要な基礎学力を身につけます。特殊講義はそれぞれの教員が最先端の研究について講義するもので、現段階での研究の到達点を知ることができます。専任教員がカヴァーできない分野は非常勤の先生の応援で補っています。研究テーマが絞られてくる3年次からは卒論作成のための演習に参加し、大学院生のアドヴァイスや教員の研究指導を受けつつ研究を進めて、4年次で卒業論文を完成させることになります。 西洋史学の授業は狭い意味での職業教育ではなく、広い教養と歴史的なものの見方を身につけ健全な判断力を持つ市民の育成を目指しています。したがって卒業後の進路も多様で、民間企業、公務員、教師などさまざまな職種がありますが、中には海外で活躍するチャンスのある職業を選ぶ人もいます。大学院進学者は2〜3名で、少なくともその半数は博士前期課程修了後に公務員、民間企業などに就職していきます。 西洋史は西洋という「他者」の歴史を古代から現代まで研究する学問です。そこには「他者」の歴史ゆえの難しさは当然ありますが、現在の日本から「距離」がある分、それだけ思考の地平を広げてくれる分野といえるでしょう。また、今現在の欧米世界を理解するためにも過去へのまなざしは重要です。先人の研究蓄積を手がかりに外国語の文献・史料を読み解いて自らの見解を見いだす作業は大変ですが、それだけに達成感や喜びにも大きいものがあります。(髙田京比子) 西洋史学専修の魅力は、研究を通じて「広く、深い学び」を得られる点にあると思います。自分がこれまで訪れたことのない地域や、経験したことのない文化の歴史について学ぶことは、刺激的であり、自分の知見を驚く程広げてくれます。一方で自分が設定したテーマとじっくり向き合って研究を行う経験は、社会に出てからも皆さんが様々な問題と向き合い、解決するための手立てを与えてくれると思います。あらゆる面で国際化が進む今、世界に目を向け、多くの知識を得ながら自分の考えを深めることは、きっと皆さんの人生を豊かにしてくれるはずです! (井上俊希 2017年3月卒業 兵庫県立高校教員)広い世界・遠い世界を、多様なアプローチで再構成することが可能な、間口の広い学問です。 西洋史学が研究対象とする西洋社会が19世紀に生み出した文化は、世界の多くの地域に影響を与えました。日本も例外ではなく、明治以来西洋社会は学ぶべき対象とされ、その西洋社会の歴史学を学ぶ西洋史学には特別な地位が与えられていました。しかし今日一つの価値基準に合わせて世界が動かされる時代ではなくなっています。従って旧来の「西洋史学」は没落したわけですが、しかしそこから西洋史学の再生も始まります。「モデル」を対象とした西洋史研究では見えてこなかった様々な事象が、世界史の中でよみがえります。時代の先端に立って、ともに西洋史学を切り開いていきませんか。 神戸大学文学部の西洋史学は専任教員が4名で、古代から現代までの時代をカヴァーしています。教員はフランス、イタリア、ギリシア、ソ連・東欧といった地域を中心に研究していますが、卒業論文研究はイギリス、アメリカはもちろん、欧米とアジアの関係なども含め、自分の関心に即して自由に選べます。例年、非常勤の先生にもお越しいただき、幅広い内容の授業を提供しています。西洋史学専修
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