卒業生からのメッセージ 総合コースで経済学の研究者を目指す場合,前期課程2年間と後期課程3年間からなる5年一貫のカリキュラムとなります。前期課程2年間では所定の単位数(30単位以上)の講義・演習(ゼミ)・特殊研究(第2ゼミ)などを履修し,修士論文を作成します。後期課程進学後は,研究指導を通して論文を執筆し,学会報告や経済学の専門誌に論文投稿などを行い,博士論文を作成します。広木 隆マネックス証券勤務社会構想大学院大学教授2021年度修了 もう一つは「六甲フォーラム模擬報告シリーズ」です。こちらは主に就職活動中の博士後期学生が報告する場で,研究職に推薦できると判定された学生を研究科のホームページで紹介し,大学院生の就職活動を支援するのが目的です。また後期課程1-2年目の学生が早期に研究計画に対してフィードバックを受け,その後より良い研究を行っていく足掛かりの場所でもあります。解き明かしたい謎は何ですか? みなさん,こんにちは。「卒業生からのメッセージ」を寄せる機会をいただき,とても光栄です。ただ,執筆の依頼が来た時,僕でいいの?とも思いました。だって,みなさんが僕の写真を見たら「このおじさん,いったい何十年前の卒業生だよ?」と思うことでしょう。でも,僕が大学院を修了したのは令和3年,ついこの前のことです。僕は50歳代半ばにして社会人大学院生として神戸大学大学院経済学研究科に入学しました。僕はこれまで30年以上も一貫して金融資本市場の仕事をしてきました。実務経験の豊富さだけは自信があります。それでもマーケットの世界はわからないことだらけです。たくさんの謎に満ちています。それが僕にとって幸いでした。なぜなら多くのリサーチ・クエスチョンが日々の仕事の中にあったのですから。ひとつの研究を完成させるにはいくつものハードルを越えていかねばなりません。先行研究の読み込み,実証分析,議論の進め方の検討など,どれも労力を要するものばかりです。ですが,僕が思うには最初のクエスチョンを見つけるところが最大のポイントです。そのクエスチョンが大きければ大きいほど,それを解明したいとのモチベーションが研究の推進力となるでしょう。みなさんにとっての大きな謎はなんですか。きっと解き明かしたい謎があるはずです。その答えを探す旅の扉を経済学研究科で開けてくれることを期待しています。講 義 選択必修科目の中で,ミクロ経済学,マクロ経済学,計量経済学に関する計12単位の授業を研究者志望者向けに設定しています。さらに,分析ツールを習得するための科目から,さまざまな分野の高度な専門科目まで,幅広い講義科目を選択することができます。また,学外から数名の非常勤講師を毎年招いています。これは現在学界で議論されている話題性のある専門分野を紹介するもので,研究科学生のニーズに応えています。六甲フォーラム 研究者養成の柱として演習とともに重要なものが共同研究・教育のためのワークショップ「六甲フォーラム」です。フォーラムの主たる目的は次の二つです。一つは国内外の研究者を招聘し,講演・講義をしてもらうことによって,大学院生の皆さんに最先端の経済学に触れてもらうことです。もう一つは演習の一環として博士課程後期課程の大学院生と研究科教員が参加し,大学院生の皆さんの研究報告に対して複数教員による組織的指導を行い,各自の研究課題が博士論文に結実するよう支援することです。各教員が主催する「六甲フォーラム」は毎月不定期に複数回開催されており,大学院生にとって大きな刺激となっています。 上記の目的をより深く追求するために,従来の「六甲フォーラム」に加え,2022年度から新たに二つのセミナーシリーズを開始しました。一つは「定期六甲フォーラム」です。こちらは特定の曜限に定期的に開催することで大学院生や教員の出席の便宜を図っています。また,最もネットワークづくりに熱心,かつ研究の意味で最前線にいる若手教員(含むテニュアトラック教員)が六甲フォーラムの運営に携わることで,大学院生により最先端の経済学に触れてもらうことを目的としています。演 習(ゼミ) 本研究科の特徴は,ゼミを通じたきめ細かい研究指導が行われていることです。前期課程の入学後,大学院生はそれぞれ特定の教員のゼミに所属し,前期課程・後期課程を通じて,基本文献の読み方から始まって,研究報告を通じての論文指導や学会報告のリハーサルまで,時には厳しい指導によって,研究者の卵として鍛えられていきます。前期課程では基本文献の輪読と修士論文の作成のための研究報告が,また後期課程では博士論文作成のための個人研究報告が中心となります。また特殊研究(第2ゼミ)を履修して,指導教員以外の教員からも研究指導を受けることができます。18世界で活躍する研究者養成
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