教育担当理事対談佐藤 春実人文・人間科学系長平山 勝敏自然科学系長金京 拓司社会科学系長村上 卓道生命・医学系長神戸大学 統合報告書2025修士・博士課程修了後、社会の中核を担う人材として、企業・行政、あるいは国際機関、地域社会など様々なフィールドで活躍しているロールモデルを積極的に可視化していく必要があると考えています。平山 本学の自然科学系は理学、工学、農学、海事科学、システム情報学、科学技術イノベーションの6部局を擁しています。自然科学系の場合、学部から修士課程への進学者は多いですが、修士課程から博士課程にはつながりにくく、「博士=研究者」というイメージが根強くあります。実践的な博士人材イメージというのは、アカデミア以外の行政、機関など、より社会の現場に近い場所で持ち前の高度専門知識、課題解決能力、コミュニケーション能力、またプロジェクト推進能力を発揮するような人材だと考えます。例えば、私が所属している海事科学研究科では、学位を持った海技士を多く輩出することが重要だと考えています。日本には、海技士の資格と学位の両方をもつ研究者や航海士・機関士の数が海外と比較しても少なく、海事、海運に関する様々な課題発見・課題解決に主体的に取り組むことができる人材が不足しています。そのため、研究力を兼ね備えた実践的人材の育成が急務です。村上 生命・医学系については、やはり専門性が高い人材を育てようという動きがとても強く、本学としてもこれまではそこに注力していましたが、コロナウイルスのパンデミックを経験して、深く狭い専門知だけでは対処しきれない問題があるということを痛感しました。様々な分野の専門知を統合して、総合知として社会に提供し、社会実装ができる人材が必要です。特に大きな動きとしては、大学院医学研究科と保健学研究科を融合して、さらに公衆衛生大学院の機能を追加した医学系研究科の新設、総合知を持つ人材の育成へと、既に舵を切っています。総合大学だからこそできる連携を強化していきたいと考えています。玉置 どの分野に所属していても、自ら課題を的確に捉え、その解決に向けて主体的に行動できる力が、現代社会にお22
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