Ⅰ 価値創造ストーリーⅡ 価値創造のための戦略Ⅲ 神戸大学の現在地人文・人間科学系では、学際的背景を持つ多様な教員が集まり、共同研究や共創的研究を推進しています。博士課程修了者はアカデミアのみならず、博物館・企業・教育機関・自治体など幅広い場で活躍。個人に属していた技能を社会の資産へ転換するなどプロジェクト型研究を通じ、複眼的視点を養う教育を重視しています。社会科学系は、学際的な分析力と実装力を兼ね備えた「共創型知の担い手」を育成します。企業や行政、国際機関、地域社会と連携し、多様な場で変革を牽引できる博士人材を目指します。縦の専門性深化と横の異分野連携を組み合わせ、社会制度や政策の改革にも貢献できる教育を展開し、実践的に課題解決へ挑む力を養います。教育担当理事対談 ─大学院教育改革について─いて強く求められています。こうした課題解決にあたっては、専門知に加え、複眼的な思考や総合知を基盤とし、異分野との共創に取り組む姿勢が不可欠です。これこそが、現在最も社会から期待されている「実践的博士人材」の姿であり、本学においても各学系が連携しながら、その育成に取り組むことが求められています。佐藤 人文・人間科学系の分野には既に多様な専門分野の研究者が在籍していますが、従来の文系研究は個人的なプロジェクトにとどまりやすい傾向があります。そこで、本学系では、より幅広い視点を課題解決に取り入れるために、プロジェクト型の研究・教育を導入しています。さらに、伝統的な技術などを多角的に分析し、これまで明文化されず個人に属していた技能を、誰もが活用できる情報資産へと転換する研究も進めています。このように、一つの分野に限定されることなく、多様な角度からアプローチすることで、複眼的な視点を養うことを重視しています。金京 社会科学系における大学院教育の強化には、縦のつながりと横の連携の2軸があると考えています。縦のつながりというのは、学部と大学院を一貫的に接続し、研究者養成や専門職大学院における高度専門職育成を推進することを意味します。これにより、高度な専門性を備えた人材を体系的に育成することが可能となります。一方、横の連携とは、異なる学問分野を横断した協力や融合を指します。この「共創」によって、単一の学問枠組みでは捉えきれない複合的な社会課題に対し、多角的かつ包括的な分析が可能となります。したがって、縦と横の二軸を統合した複層的な教育・研究体制を構築することこそが、現代社会における大学の不可欠な使命であると考えます。平山 もともと自然科学分野は大きな分類から分岐して細分化してきた背景がありますが、共創というキーワードの元、この流れと逆行して再度連携が求められています。過去に自然科学分野から理学・工学・農学・海事科学研究科などに分かれた際の経緯をしっかりと分析することで、連携の在り方を模索する必要があると考えます。村上 医学系研究科では総合知を持った実践的な人材を育成し、地域医療やグローバルヘルスに貢献し社会課題を解決できる能力を育成します。そのためには、こちらから一方的に知識を与えるのではなく、学びのロードマップを指導者としっかりデザインし、学生が段階的に専門性や総合知を身につけられる仕組みを作るサポートが重要です。それぞれの学系が考える共創学位プログラムの在り方についてお聞かせください。人文・人間科学系社会科学系各学系の方針230102
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