神戸大学 統合報告書 2025
25/60

教育担当理事対談神戸大学 統合報告書2025自然科学系は、理学・工学・農学・海事科学・システム情報学など幅広い分野を横断し、社会に貢献できる博士人材を育成します。高度な専門知と課題解決力、コミュニケーション力、プロジェクト推進力を兼ね備え、産・官・学の現場で活躍できる実践的博士像を描き、国際的にも通用する人材育成を推進します。生命・医学系は、医学・保健学・公衆衛生を融合した新研究科を設立し、専門知を統合した総合知を育成します。異分野との共創を通じて複眼的に課題を捉え、地域医療やグローバルヘルスへ貢献できる博士人材を目指します。段階的な学びのロードマップと協働的教育により、社会実装を可能とする実践的な人材育成を推進します。佐藤 やはり私たちの分野が持つ学際的な広がりを強みに、縦と横のつながりを強化していきたいですね。また、私たちのキャンパスは学内では少し離れたところにありますので、他研究科との物理的な距離の遠さについては、異分野とのつながりを作り出せるような教育プログラムでカバーできればいいなと思います。金京 また、大学としてより良い教育プログラムを提供することはもちろん大切ですが、卒業後を見据えたキャリア支援も、博士人材を取り巻く現実として極めて重要な課題です。今後はURAやキャリアセンターの機能を一層強化し、博士課程で培った能力を存分に活かせる環境や仕組みを整えていく必要があります。さらに、博士課程が教育の対象とすべき相手は、学部や修士から進学する学生に限られるべきではありません。留学生や社会人など、多様な境遇や年齢層、文系・理系を問わない幅広い学問的背景を持つ人々を受け入れることで、プログラム自体も発展していくはずです。そのうえで、このような多様なニーズに応えるため、オンラインやオンデマンドといった柔軟な学習方法を幅広く検討する価値もあると考えています。平山 現状、博士号が要求される職業は研究職以外にはほとんどありません。これが、日本で博士人材が増えない一因だと推測しています。今後は、研究機関以外で博士の多様なキャリアパスを用意し、実践的博士人材を評価し積極的に活用する企業やポストを増やしていく必要性があると思います。村上 博士課程修了後のキャリアパスについては、大学院で学んでいる期間中に企業と連携して、直接企業にアピールしていくことも重要かもしれません。博士人材が企業にとって、もしくは社会にとってなくてはならないと理解を深めてもらうことで、だんだんと社会の中の博士人材の存在感を高めていけるのではないかと思います。玉置 本学は開学以来、「理論と実際の調和」を理念に掲げ、社会的要請に応えること、社会と積極的に接続することを常に重視してきました。実践的博士人材の育成という課題においても、大学という組織の内部だけに視線をとどめるのではなく、大学を取り巻く外部社会との連携を深め、その要請に敏感に対応する姿勢が求められます。また、本学は総合大学として、文系と理系のバランスを有していることが大きな強みです。個別に分断されることなく協調することで、新たな価値を創出できる環境が備えられています。その特性を最大限に活かし、大学のビジョンに沿って、教職員・学生を含む大学関係者が一体となって、大学や大学院の在り方を議論し、考える場を創出していければと思います。それぞれの学系における大学院教育改革の方向性・課題があればお聞かせください。自然科学系生命・医学系240304

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る