神戸大学 統合報告書 2025
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知の創出人材の創出環境の創出財の循環TO PICS環境DNA分析によって発展した生物多様性モニタリング源 利文 教授(人間発達環境学研究科) 神戸大学 統合報告書2025長期ビジョン「知と人を創る異分野共創研究教育グローバル拠点」の実現に向け、学長のリーダーシップの下で先進的かつ世界最高水準の異分野共創研究を推進するために、学術研究推進機構内に「異分野共創研究企画・創出委員会」(以下「委員会」という。)及び「先端的異分野共創研究推進室」(以下「室」という。)を設置しています。「委員会」は、本学の第一線で活躍している研究者が委員となり、学内の研究シーズを元に異分野共創研究のマッチングを行い、新たな「研究ユニット」を企画・創出しています。研究ユニットは、2022年7月の創出から2025年8月1日現在までに累計13件が創出されており、特に若手研究者を中心に異分野共創研究を進めています。本取り組みは、新たな研究を生み出す効果はもちろんのこと、異分野に触れることで研究者自身の成長を促す場にもなっています。2025年4月からは研究ユニットと後述の「先端的異分野共創研究プロジェクト」を橋渡しする施策として、第一三共「はばたく次世本学は、環境中に存在するDNA情報から野生生物の分布をモニタリングする環境DNA分析研究をリードしています。これは、川や海から水を一杯□むだけで、そこにどんな種類の生物がいて、その生物がどのような活動をしているかを把握できるという画期的な研究です。この技術は、従来の生物調査が抱えていたコストの課題を解消し、生物多様性のモニタリングを飛躍的に効率化しました。私たちは、日本の環境DNA分野におけるパイオニアとして、その発展に大きく貢献してきました。これまで、世界初の環境DNAメタバーコーディングの成功や、絶滅危惧種の繁殖地や外来種の生息地推定、そして魚類分析の決定版である「MiFish法」の開発など、数々の革新的な成果を上げています。今後は、交雑種の検出や生物のストレス状態の測定などを容易に情報として得ることができる研究を進めていく予定です。代」応援寄付プログラムの支援を受けて新たに「はばたく次世代異分野共創研究プロジェクト」を開始しました。この施策により、若手・中堅の研究者が代表者となる異分野の研究グループが、フィージビリティスタディを行い、新たな研究成果を生み出し、次世代の先端的異分野研究プロジェクトへ発展していくことを支援しています。2025年度は研究ユニットにおいて進められてきた源教授の研究課題の発展形である『環境DNA研究の総合化ユニット』を含む5件が選定されました。「室」は、学内公募により本学のフラッグシップとなり得る「先端的異分野共創研究プロジェクト」を選定し、重点的に支援することで、先進的かつ世界最高水準の異分野共創研究を推進し、本学のビジョンである「知と人を創る異分野共創研究教育グローバル拠点」の形成を目指しています。2025年度には新たに『スピン量子技術を用いたアミロイド凝集の超偏極診断』を採択し、合計3件のプロジェクトが活動しています。28異分野間連携による傑出した研究成果の創出 k n o w l e d g e

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