知の創出人材の創出環境の創出財の循環TO PICS臼井 英之 教授(システム情報学部長・研究科長) 神戸大学 統合報告書20252025年4月に新設したシステム情報学部では、従来のカリキュラムで見られた専門教育への期待との乖離を解消し、学びへの意欲向上を実現しています。専門教育を初年次から実施する「反転教養教育」や、最短3年での学部卒業と6年での博士学位取得を可能にする「早期卒業・学位取得」を実施。1年次には「ラボ体験」で研究を体感し、3年次には研究プロジェクトに参加して大学院生らと共に課題解決に取り組みます。女子学生枠を設置することで女子比率も約18%に上昇し、多様な価値観を持つ学生が集う活発な学習環境が形成されました。今後は、神戸市、地元を中心とした幅広い分野の企業、神戸に設置された日本マイクロソフト社のMicrosoft AI Co-Innovation Labとの連携だけでなく、海外の企業で活躍する卒業生とも連携を深めながら、国際的・俯瞰的観点をもちリーダーシップを発揮する高度情報専門人材を育成します。医学部に、2025年度より「医療創成工学科」を新設し、29名の第一期生を迎えました。本学科は、臨床工学技士国家試験の受験資格を得られる指定校として認可を受け、従来の医工融合教育が抱えていた「実用化を見据えた人材育成の不足」という課題に応えるものです。基礎研究に偏りがちな従来の教育では、患者のニーズを反映した医療機器開発が難しく、現場の声と工学の知見をつなぐ人材の育成が急務でした。そこで、「医療機器開発」を題材として、ニーズの抽出から医療機器の実用化までの医療機器開発の全プロセスを学ぶ独自のカリキュラムを構築しました。さらに、技術面だけでなく、医療現場での実習を重視し、実践的スキルや医療従事者とのコミュニケーション力を養うことができます。今後は、医療機器開発の全プロセスを体験できる教育を深化させ、神戸を我が国の医療機器開発の中核拠点とすべく、教育と研究の両面でさらなる発展を目指しています。社会課題解決に向けた革新的な教育を進める「教育特区」システム情報学部医療創成工学科が拓く未来型人材育成大谷 亨 教授(医学部医療創成工学科 学科長)32 h u m a n r e s o u r c e s
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