トップステートメント神戸大学 統合報告書2025( ふじさわ まさと )「hinotoriTM」の開発に携わるなど、産官学連携のもと先端医療技術の開発を目指し、研究教育活動を行っている。1960年兵庫県生まれ。1984年に神戸大学医学部医学科を卒業、1989年に神戸大学大学院医学研究科博士課程を修了。2002年川崎医科大学教授、2005年神戸大学大学院医学系研究科教授に就任。2014年医学部附属病院長、2018年学長補佐、2019年医学研究科長を経て、2021年4月に学長就任。腎泌尿器科学を専門とする外科医。2015年から2019年まで日本泌尿器科学会理事長。国産初の手術支援ロボット強化が求められています。そのため、昨年度には戦略企画室情報戦略部門を改組し、総合IR戦略部門を新設して、戦略的な取り組みの立案のために必要な調査・分析を行っています。さらに、2025年7月1日付で大学未来戦略構想オフィスを設置し、研究力、教育力、産官学連携、国際化、地域・社会貢献の実態を明らかにし、全学的観点、長期的な観点から大学の在り方を検討するための教育研究データの収集・整理・分析を進めています。そして、その結果をもとに人的・財務的経営資源を踏まえたうえで、中期財務計画における全学な戦略的課題を資金循環の観点から分析し、大学経営資源の再配分を最適化する提言を積極的に行っていきます。また、大学のDX戦略についても教育・研究・業務の各面において時代の流れを捉え、教職員のニーズに応えられるよう事業の効率化を目指して改革を推進していきたいと思います。大学を取り巻く環境は大きく変化し、少子高齢化、18歳人口の減少、グローバル化の加速、研究力の低下、人材獲得における国際競争、運営費交付金の減額、人件費の増加、物価の高騰及び働き方改革などといった課題への対応が山積しており、教育研究や管理運営等において不断の努力が求められています。本学としても、人文・人間科学系、社会科学系、自然科学系、生命・医学系が共創・協働を推進しながら、構成員一丸となってこの難局を乗り越え、強みと特色を活かしながら、地域に根差し世界トップレベルの研究ができる地域中核大学として成長を遂げ、地域社会、さらには国際社会に貢献していかねばなりません。本学の挑戦と決意に、引き続き温かいご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。 また、カリキュラム改革として、学部修士一貫、学部修士博士一貫教育を充実させるとともに、早期修了も考慮に入れたプログラムを全学的に導入し、博士進学を促していきます。今後、少子化がさらに急速に進み、2040年には18歳人口は現在より約3割減すると推定されており、本学が研究大学として生き残っていくためには学部・大学院定員の適正化を図り、学部から大学院教育へシフトし強化していくことも考えていくべきです。さらに、博士人材の多様なキャリアパスを構築するとともに若手研究者の挑戦と成長を支えるため、高等学術研究院卓越准教授・教授制度や若手教員長期海外派遣事業、優秀若手研究者賞などの制度を整備しています。加えて、女性研究者の育成にも継続的に注力しており、学内のジェンダーバランス改善に取り組むとともに、女性の教員雇用や昇進支援を加速し、全学的に女性研究者のさらなる活躍を支援していきます。多様性と包摂性を備えた研究・教育環境の実現を目指し、引き続き尽力していきます。また、今年度は、新たな学びの分野として医療現場で、医療機器開発を主導する創造的開発人材を育成する「医学部医療創成工学科」、人工物から社会・自然までを包含する大規模・複雑なシステム情報に切り込む人材を育成する「システム情報学部」を新たに設置し、これらを通じて、次世代の社会課題に応える実践的人材の育成にも力を入れています。経営戦略に役立つIR体制の確立、教育・研究・業務におけるDXの推進は非常に重要です。大学経営の方針決定に重要な情報分析機能を担うIR体制は、データが一元化されておらず、整備・藤澤 正人経営戦略の強化に向けてステークホルダーの皆様へ04TOP STATEMENT
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