神戸大学 環境報告書 2025
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学長メッセージ/センター長メッセージ/環境憲章持続可能な社会の実現に向けた戦略大学概要/環境保全のための組織体制神戸大学の環境パフォーマンス環境保全推進センターの活動第三者意見環境に関する教育研究とトピックス環境に関する教育研究とトピックス関西電力株式会社との連携による連続講座「ゼロカーボン社会の実現にむけて―エネルギーの今と未来を考える」の開催SDGs推進室 特務准教授 土井 祥子講義のようすLNG火力発電所の見学(堺港発電所) SDGs推進室では、2022年度以降プロジェクトパートナーである関西電力株式会社との連携により、有志学生による発電所の見学会や脱炭素をテーマにしたセミナーの開催など、学生の学びの機会創出に取り組んできました。2024年度は、学生がエネルギーについてなるべく俯瞰的・体系的に理解し、技術面だけではなく社会的な背景も含めてゼロカーボン社会の実現に向けた課題を捉え、未来社会の望ましい将来像を考える機会とすることを目的に、全5回のシリーズ企画として講座の開催を企画しました。とりわけ2024年度は、政府における中長期的なエネルギー政策の指針となるエネルギー基本計画の改定に向けた議論が進行中であったこともあり、発電施設の現地見学や座学で得た学びを踏まえ、受講学生が2050年のエネルギーベストミックスを考え、最終回に発表するプログラムとしました。 第1回は講義形式とし、エネルギーをめぐる国際動向や日本のエネルギー情勢、各発電方式のしくみや特徴といった基礎的な知識を学んだほか、関西電力によるゼロカーボンの取組みについても紹介されました。講義開始時点で考える2050年エネルギーベストミックスを各自が作成し発表したところ、2050年という「未来」は近未来で、現状を大きく変革するには時間が足りないという意見が比較的多かったのが印象的でした。 第2回は大飯発電所(原子力発電所)、第3回は堺港発電所(LNG火力発電所)とハイドロエッジ(液化水素製造プラント)の現地を訪れました。2011年の東日本大震災以降、新たに導入された原子力発電所の新規制基準に対応した安全対策、再生可能エネルギーの急速な拡大とともに、電力需給の調整役としての重要性が増す火力発電における脱炭素化と需給調整の困難さ、地球環境問題と資源エネルギー問題を同時に解決できるクリーンエネルギーとして水素エネルギーがもつ可能性などを、実際の発電施設を見学しながら学び、それぞれの施設現場で業務にあたる社員の方々との質疑応答が各回活発に行われました。 第4回 は、最 終 提 案 に 向 け て、日 本 の エ ネ ル ギ ー 政 策 の 基 本 方 針 で あ る「S+3E」(安全性(Safety)を大前提とし、自給率(EnergySecurity)、経済効率性(EconomicEfficiency)、環境適合(Environment)の同時達成を目指す)の観点から、各発電方法のメリットとデメリットについて関西電力社員の方々も交えて議論しました。最終回は、第1回の講座スタート時に作成した各自の案と比較しながら、講座を通じて得た学びや気づきをもとに考察を深め、あらためてエネルギーミックスを作成するとともに、「S+3E」の観点からの自己評価も行いました。さらに、各学生が、どの指標に重点を置くべきと考えるか、また実現する上で乗り越えるべき課題についてもあわせて発表しました。 企業と連携し、シリーズとして講座を開催するのは本講座が初めての取組みでしたが、学部1年生から修士2年生まで、文理を問わず8の学部・研究科から幅広い分野の学生が参加しました(エントリー数は30名)。実施後の受講学生アンケートでは、発電施設を実際に訪れ、社員の方とのコミュニケーションを通じて、授業では得られない経験ができたことを評価する一方、再生可能エネルギーなど他の発電方法も詳しく取り上げることや、非エネルギー分野も含め、電力を使用する側から脱炭素を考えるアプローチを望む声などもありました。SDGs推進室では、今回の結果も踏まえ、より充実した内容でこうした取組みを継続してまいります。HP 神戸大学生によるSDGs推進の取組み https://www.sdgs.kobe-u.ac.jp/students.html環境に関する教育

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